このような課題にもかかわらず、IoTの開発がWebのような方向に沿って進み、事実上、モノのウェブ(Web of Things)になる流れが止まることはないでしょう。しかし、技術的課題に加え、独自のデファクトスタンダードを確立できる望みがある限り、巨大企業が協調に二の足を踏むため、分断につながるはずです。
有力企業が、概念的に類似していながら相互運用性のないプラットフォームで自社顧客を囲い込むことにより、新たなWoTは企業の境界に沿って分かれることが考えられます。さらに、信頼性、決定性、特殊なネットワーク要件などの懸念がある機能は、パーティショニングによってネットワークのセグメントから切り離さざるを得ないため、機能的境界に沿った分断も生じることが予想されます。
残念ながら、恐らくは一連の壊滅的攻撃を受けて、セキュリティに対する各ベンダー個別の取り組みだけではシステム全体を保護できないことが明らかになれば、WoT全体の破壊的見直しを目の当たりにすることになるでしょう。それは回避可能な未来ですが、企業ITシステム、安全な政府システム、国内送電網の脆弱性が、これまでなおざりにされている現状を踏まえると、悲しいことに今後、攻撃が成功する可能性は否定できません。標準化にコストはつきものです。
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