これまでの連載で、AUTOSARによって標準化される対象の概要について述べてきた。それらを理解し、必要に応じてさらに深く知ることで、期待できることもより多く見えてくるだろう。しかし、それはAUTOSARそのものが提供するものに偏りがちで、自らの運用により得られるものは見えにくいだろう。
AUTOSARを利用/運用することで得られるものを把握することは重要である。その際、AUTOSARの背後に潜む、以下のようにさまざまな側面も大きなヒントになりうる(注:決して網羅的ではない)。
まず、ここに書き出したキーワードの中に、期待につながるものはないかと、自身でご一考いただきたい。自ら見いだしたものの方が一般解よりも実感を持てるはずだ※4)。
また、「困りごと」の解決につながるものは比較的分かりやすいだろうが、長年にわたり対処や解決を諦めていたものは、「困りごと」としてすぐには思いつかないこともあるだろう。リスクアセスメントと同様に、見えやすいものだけに注目するべきではない。
期待につながるものがもたらす効果の内容(トレードオフも含む)、得られる時期(どのくらい待たなければならないか)、投資や準備の要否、外部要因への依存性なども、やはり、受け入れる側の状況次第である。導入の効果は、AUTOSARそのものの特性ではなく、AUTOSARをあてはめる現場との組み合わせによる特性といえよう。
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