複雑すぎる原価管理、IoTでどうカイゼンするかトヨタ生産方式で考えるIoT活用(4)(4/5 ページ)

» 2016年03月03日 07時00分 公開

原価管理のあるべき姿とは

 企業が利益を追求するのは当然の事で、そのために原価管理はかかせません。しかし複雑化する原価管理をより効率的に行うために、改善できる点も多いのではないでしょうか。以下ではその具体的なポイントを紹介します。

STEP1.原価管理の業務標準を作成する。

 まず、原価を管理する軸(費目)と計算式とアウトプットを定義します。特に重要なのは原単位と呼ばれる原価算出の基となる情報項目の定義です。主な項目は工程、ワークセンター、設備、事業、商品分類、品番、部品構成、工程順序、必要数、MCT(マシンサイクルタイム(工程の加工時間)、CT(サイクルタイム、人の加工時間)、MT(マシンタイム、機械の加工時間)、不良率、レート情報(人や機械の単位時間当たりの費用)、購入単価情報などとなります。

 会社で共通のものさしを定義することで、収集する情報、原価の算出方法、アウトプットを統一することができます。

STEP2.業務標準に基づき、日々の生産活動から情報収集し、原価を算出する。

 上記のように作成した業務標準に基づき、日々の生産活動から各種情報を収集し、原価を算出します。情報の収集にはIoTを活用し、原価算出はシステムで計算することで、日次、週次、月次で原価を捉えていきます。

 精緻な情報は月次で締めなければ把握できませんが、意思決定をするためには十分な情報提供が可能となります。

STEP3.原価算出の結果を共有する

 2.で算出した同じデータを同時に経営層、ミドルマネジメント層、現場管理者が把握することにより、改善ポイントについて話をすることで、現場改善につなげます。

STEP4.改善結果の評価と標準値の見直し

 改善活動の結果による原価や利益に対する評価を行い、標準値となるMCT、CT、MT、不良率などの原単位を改訂し、さらなる改善活動につなげます。

≪原価管理のあるべき姿(クリックで拡大)出典:アムイ

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