無償で使える流体解析ソフト「Flowsquare」を使ってみよう! 今回は解析モードへの出力項目の設定方法と出力タイミングの設定方法について説明する。
この連載では無償の流体シミュレーションソフト「Flowsquare」を用いて、流体現象についての説明と、流体解析ソフトに共通する考え方を説明しています。前回は、解析モードの使い方の説明と、オリフィス流れの解析事例を基にベルヌイの定理について説明しました。今回は解析モードへの出力項目の設定方法と出力タイミングの設定方法について説明します。また、解析例として、円柱周りを通過する流れを計算し、カルマン渦について説明します。
Flowsquareではgrid.txtに解析条件が記載されています。grid.txtファイルをメモ帳などのテキストエディタで開くと、下記に示すような内容が記載されています。
---------- Control File for Flowsquare ver 4.0 (Use SI Unit) ---------- ------------------------- General Control Data ------------------------ 01:cmode 0 // Simulation mode, 0:non-reac, 1:premixed, 2:non-premixed, 3:Euler, 4:analysis 02:nx 64 // No. grid points 〜 #End of file
上記は途中を省略しています。1行につき1つの設定項目で、番号:の後に設定項目、スペース、設定値の順に並んでいます。設定値の後には、//の後にコメントが記載されています。例えば、01はcmodeと呼ばれる設定項目で、上記では0に設定されています。//以降のコメントを見ると、cmodeはシミュレーションの種類で、0は化学反応を伴わない流体解析であることが分かります(Flowsquareでは、燃焼のような化学反応を伴う流れも解析できますが、この連載では扱いません)。それぞれの項目は、種類ごとに分かれていて、---で分類が記載されています。例えば、01とか02はGeneral Control Dataという分類で、基本的な設定というような意味です。---で示された分類をたどっていくと、どんな設定項目があるか分かります。
出力内容に関する設定は、Display&Outputの53番目以降にあり、抜粋して以下に記載します。54:nfigが画像を出力するタイミングで、下記では200サイクルごとに画像ファイルがfigsフォルダに出力されます。
-------------------------- Display & Output --------------------------- 53:box 8 // Pixel size of one grid point 54:nfig 200 // Interval time steps for figure output (0:off) 55:nfile 1000 // Interval time steps for dump file output (0:off) 56:bcdisp 1 // Display wall boundary (0:off, 1:on) 57:idisp 4 // 0:off,1:rho,2:u,3:v,4:spd,5:vrt,6:T,7:rate,8:c/xi,9:P 58:cmax 0 // Scale (max). 0:auto scale 59:cmin 0 // Scale (min). 0:auto scale 60:icolor 0 // 0:Jet,1:Rainbow,2:Nishiki,3:Gray,4:Gray(inv),5:Hot,6:Sea,7:Leaf 61:icont 0 // (Reaction front) contour line (0:off,1:blck,2:red,3:grn,4:bl,5:wht) 62:linewidth 0 // Line width of contour line (1, 3, 5 or 7) 63:ivec 1 // Velocity vector (0:off,1:blck,2:red,3:grn,4:bl,5:wht) 64:ndiv 2 // Interval grid points between displayed vectors (0:auto) 65:vecsize 3 // Pixel size of vector arrow (0:auto) ------------------ Lagrangian Trajectory (optional) ------------------- 66:lagkey 0 // 0:off,1:x, 2:y,3:x-x,4:y-y 67:lagcolor 0 // 0:black, 1:white 68:lagsize 0 // Pixel size of particles 69:nlagra 0 // Interval time steps of restart (>=100) 70:npart 0 // No. particle (>=1000)
55:nfileが解析結果の出力タイミングで、上記では1000サイクルごとにdumpフォルダに出力されます。解析モードにおいてPageUpDownキーで切り替わるタイムステップはこのタイミングになります。56:bcdipは境界を表示するかどうかで、0にすると表示物理量との区別が付かなくなるため、1に設定し、境界部分をグレイで塗りつぶしたほうが見やすくなります。57:idispは表示物理量です。解析モードで表示物理量を選択する数字キーと設定値とは同じ値となります。表示物理量は解析モードでは数字キーで変更できますが、画像ファイルには、ここで設定された物理量でコンター表示されます。従って、画像ファイルから動画を作成するような場合、あらかじめ表示したい物理量をここで、設定しておく必要があります。
58〜62はコンター表示に関する設定です。
63〜65は流速ベクトルの表示に関する設定で、流速ベクトルを表示させない場合は63:ivecを0に設定します。66〜70は流線上に粒子を表示させ、流れの様子を分かりやすくさせるための設定項目です。本連載第1回の最初のカルマン渦の動画で粒子が流れているように見えているのは、66:lagkeyを1に設定しています。lagkeyで発生した粒子は、流速ベクトルとは異なり、解析モードでは非表示にできないため、必要な場合のみ、1に設定するようにしてください。物理量の設定項目と同じく、画像ファイルにはここで設定された表示となるため、動画を作成する際は、解析を始める前に設定しておく必要があります。
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