高速HILSとモデルライブラリを月額7万円で利用できる、東芝情報がリース提供ET2015

東芝情報システムは、「組込み総合技術展 Embedded Technology 2015(ET2015)」において、車載システムの開発に用いるHILS「M-RADSHIPS」の新製品「HSE」を展示した。「高速」「コンパクト」に加えて「低価格」が特徴。モデルライブラリなどを含めたクラウドサービスと合わせて、月額7万円でリースできる。

» 2015年11月25日 11時00分 公開
[朴尚洙MONOist]

 東芝情報システムは、「組込み総合技術展 Embedded Technology 2015(ET2015)」(2015年11月18〜20日、パシフィコ横浜)において、車載システムの開発に用いるHILS(Hardware in the Loop Simulation)「M-RADSHIPS」の新製品「HSE(HighSpeed Edition)」を展示した。

東芝情報システムの「M-RADSHIPS」の展示 東芝情報システムのHILS「M-RADSHIPS」の展示。ノートPCの左側にあるのが従来モデルの「HighEnd」で、右側に3台積んでいるのが新製品の「HSE」。ノートPCでは、HighEndで動かしている車両モデルと、3台のHSEで動かしているACC(アダプティブクルーズコントロール)制御、モーター、バッテリーの各モデルを連携させた状態を表示している(クリックで拡大)

 HSEは、同社の従来モデルのHILSと比べて、「高速」「コンパクト」「低価格」を特徴としている。プロセッサは、ARMのアプリケーションプロセッサコア「Cortex-A9」を2コア搭載。これら2コアのうち、1コアを使ってLinuxベースのHILSの制御を行う。もう1コアで車載システムの制御ソフトウェアを動作させ、ハードウェア制御はFPGAが担当する。「従来モデルでもマルチコアプロセッサを用いていたがSMP(対称型マルチプロセッシング)で対応していた。HSEでは、2コアでそれぞれ行う処理が異なるAMP(非対称型マルチプロセッシング)になっており、ハードウェア制御もFPGAに任せている。これによって、より高速処理が求められる用途に対応えられるようになった」(同社の説明員)。推奨タスク周期は、従来モデルが1msだったところを、HSEでは200μsになっている。「あくまで“推奨”であり、数十μsレベルも実現可能な実力がある」(同説明員)という。

 HSEの外形寸法は幅297×奥行き210×高さ50mm。従来モデルが幅323×奥行き258×高さ134mmなので、高さは半分以下になっている。ただし、HSEは入出力端子数が限られているので、用途はモーターや先進運転支援システム、バッテリー制御システムなどの一定規模以下の車載システムに限られる。より規模の大きな車載システムは、多くの入出力端子を備える従来モデルの方が適している。

 「高速」「コンパクト」よりもインパクトが強いのがHSEの価格だ。従来モデルの価格は300万円〜だったが、HSEは半額の150万円に抑えた。さらに、月額3万円でモデルライブラリやツール、プロセス/設計ガイド、サポートコミュニティーを提供するクラウドサービス「M-RADSHIPS Cloud」のユーザーであれば、追加で月額4万円を支払うことでHSEをレンタルすることも可能だ。2015年10月から本格的なサービス提供を始めた。「100万円単位のツールとなると、稟議を通す必要もあり簡単に導入を決められない。M-RADSHIPS Cloudのような月額課金であれば、導入のハードルを下げられる。競合他社のHILSベンダーにもまだないサービスだろう」(同説明員)としている。

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