シャーレス氏はダッソーの2015年第3四半期の決算について説明。新規ライセンスや収益は前年同期比で11%成長した。そしてこうした新規の売り上げについては、製造分野向けソリューションの成長がけん引しているという。「これは製造プロセスのデジタル化が始まったことが如実にあらわれているのではないか」(シャーレス氏)。
今後、設計領域に加え、製造領域にもデジタル化が浸透したとき、どういったことが起きるのか。シャーレス氏は「設計だけでなく、製品の製造や保守までもがデジタル化するということは、新たな経済モデルが生まれることを意味する。世界中どこでも製造ができるようになり、どこで何を行うかという意思決定の基準も変化するからだ。現在、非常に劇的なバリューチェーンの変化が進みつつある」と語る。
こうした製造業をとりまく環境の変化に加え、製品やサービスを中心とした経済は終わり、これらを組み合わせた体験や経験を重視する経済に向かっていくというのがダッソーの主張だ。そして同社がこうした変化に合わせた新たな革新の基盤とし、世界展開を強化しているのが「3Dエクスペリエンス・プラットフォーム(3D Experience Platform)」である。これはCADなどで作成される3Dデータを基軸に、製品の設計開発や生産、販売、マーケティングなど、製造業の一連のビジネスを支えるプラットフォームだ(関連記事)。
デジタル化やIoTなどによる製造業革新といえば、ドイツのインダストリー4.0や米国のインダストリアル・インターネット・コンソーシアムなどの動きに注目が集まっている。
こうした世界で進む製造革新の動きについてシャーレス氏は「ダッソーは以前からインダストリー4.0を推進するドイツの製造業界や、米国のマニュファクチュアリングルネッサンスなどの取り組みに参画している。欧米以外でも中国政府が進める中国製造2025やインド政府のプロジェクトにも関わっている。日本市場においても大きなプレゼンスを持っており、こうした製造業革新の動きはわれわれにとっても画期的な進展を考えるチャンスだと捉えている」と語っている。
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