スズキのフルハイブリッドはオートギヤシフトを採用、時速60kmでEV走行可能東京モーターショー2015(1/2 ページ)

スズキは「東京モーターショー2015」において、モーターだけでの走行(EV走行)が可能なフルハイブリッドシステムの技術展示を行った。2016年内に発売予定の「ソリオ ハイブリッド」に搭載する予定だ。

» 2015年11月04日 08時00分 公開
[朴尚洙MONOist]

 スズキは、「東京モーターショー2015」(一般公開日:2015年10月30日〜11月8日、東京ビッグサイト)において、モーターだけでの走行(EV走行)が可能なフルハイブリッドシステムの技術展示を行った。2016年内に発売予定の「ソリオ ハイブリッド」に搭載する予定だ。

フルハイブリッドシステムを搭載する「ソリオ ハイブリッド」の外観 フルハイブリッドシステムを搭載する「ソリオ ハイブリッド」の外観。2016年内に発売する予定だ。

 同社は2015年8月に小型車「ソリオ」をフルモデルチェンジし、スターターモーター機能と走行アシストのためのモーター機能を併せ持つ「ISG(モーター機能付き発電機)」や専用のリチウムイオン電池パックなどから成る「マイルドハイブリッド」を採用した。このマイルドハイブリッドは、「ワゴンR」などの軽自動車に採用を広げていた「S-エネチャージ」と基本的に同じ構成のシステムになる。

「ソリオ」のマイルドハイブリッドのシステム構成 「ソリオ」のマイルドハイブリッドのシステム構成(クリックで拡大) 出典:スズキ

 しかしマイルドハイブリッドのISGは、走行アシストや減速エネルギーの回生は可能だが、モーターだけで走行するEV走行はできなかった。

 開発中のフルハイブリッドシステムの構成は、マイルドハイブリッドと比べて大幅に変更されている。まず走行に関わるモーター兼発電機として、新たにモータージェネレータユニット(MGU)が追加された。トランスミッションは、マイルドハイブリッドではCVTを用いていたが、5MTをベースにクラッチとシフト操作を自動で行う電動油圧式アクチュエータを採用した自動マニュアル変速機(AMT)の「オートギヤシフト(AGS)」が採用されている。「AGSは、CVTよりも効率が良く、サイズも小さくなるのでスペース的に有利。変速時のダイレクトな操作感も得られる」(同社の説明員)という。

スズキが同時開発したフルハイブリッドシステムの展示 スズキが同時開発したフルハイブリッドシステムの展示(クリックで拡大)
フルハイブリッドシステムの車両前部側フルハイブリッドシステムの車両後部側 フルハイブリッドシステムの車両前部側(左)と車両後部側(右)(クリックで拡大)

 ただしAGSの課題とされるのが変速時に加わるショックだ。CVTよりもはるかに大きいとされるが「MGUの制御を最適化することでAGSの変速ショックを和らげている。通常のAGSよりもスムースだ」(同説明員)としている。

 リチウムイオン電池パックは、マイルドハイブリッドでは助手席床下に設置しているが、フルハイブリッドシステムでは荷室下部に設置することになる。これは、マイルドハイブリッドと比べてより容量が大きくなり、サイズも大型になるためだ。

 エンジンはマイルドハイブリッドと同じ排気量1.2l(リットル)のデュアルジェットエンジン「K12C型」を採用する見通し。走行アシストには利用しないものの、高機能のスターターモーターとしてISGも搭載する。「ISGはエンジン再始動時の静粛性が高く、フルハイブリッドシステムでも引き続き採用する計画」(同説明員)である。

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