ドイツでモバイルヘルスケア製品を扱うMedisanaは2015年9月4日、新たにベルト型の睡眠モニタリングデバイス「Sleepace」を発表した。厚さはわずか1.5mmという薄さで、シーツの下に敷いても睡眠の妨げになりにくい。リチウムイオン電池で駆動するSleepaceは、ベルトの端にあるデバイス部分をベッドの側面に垂らして利用する。
モニタリングしたデータの送信先になるスマートフォンがもし機内モードになっていたとしても、スタンドアロンでの測定可能なので、再度通信接続された際にBluetooth経由でデータをスマートフォンに送信することができる。測定できる項目は睡眠時間、心拍数、呼吸数、睡眠時に動いた数、睡眠周期など。また睡眠時間中に何度ベッドを離れたかも計測可能だ。価格は199.95ユーロ(約2万7300円)で、2015年10〜12月期から販売開始予定となっている。
それ以外にもMedisanaは血圧計やアクティビティトラッカー、体重計などのヘルスケア製品を展開しており、収集したデータをWeb]サイト「VitaDock」あるいはモバイルアプリ「VitaDock+」で管理できるサービスを提供している。VitaDockも、ドイツのデータ保護法に準拠しており、同サービスで収集されたデータは、ドイツ最大の通信事業者ドイツテレコムのクラウドサービス上に保管されている。
フランスのヘルスケア機器メーカーであるWithingsは、2014年から販売している、光と音楽で眠りをサポートする目覚まし時計「Aura」を展示していた。
Auraは、優しい光と好みの音楽で、快眠とさわやかな目覚めをサポートする目覚まし時計である。センサーが搭載されており、オプションのマットレス「Sleep Sensor Accessory」を敷いて寝ることで、睡眠状況や睡眠サイクルを自動測定しスマートフォンで管理することが可能だ。またSpotifyとの提携を発表。好みの楽曲のプレイリストによって目覚めることができるという。このような、スピーカーと照明をセットにしたデバイスはIFA 2015ではかなりの数が紹介されていた。
寝具は、人々が1日の約3〜4分の1を過ごす比較的滞在時間の長い場所だ。しかも、そこでは寝ているので、自分の行動を意識的に把握することはほぼ不可能だ。そのような場所で、特に何かしらの設定や装着を要する必要もなく、「睡眠」という本人に意識がないにも関わらず健康に大きな影響を及ぼす時間をモニタリングし、改善につなげていくという点は、ウェアラブル端末を意識することなく身にまとい、体の状態を可視化しているともいえる。
ウェアラブル端末が身に着けてもらえなくなりつつある今、「アンコンシャス(無意識)」な状態を「アンコンシャスに(意識することなく)」情報収集する睡眠トラッカーは、1つの価値を生み出しているといえるのではないだろうか。
吉岡 佐和子(よしおか さわこ)
日本電信電話株式会社に入社。法人向け営業に携わった後、米国やイスラエルを中心とした海外の最先端技術/サービスをローカライズして日本で販売展開する業務に従事。2008年の洞爺湖サミットでは大使館担当として参加各国の通信環境構築に携わり、2009年より株式会社情報通信総合研究所に勤務。海外の最新サービスの動向を中心とした調査研究に携わる。海外企業へのヒアリング調査経験多数。
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