連載
» 2015年10月09日 07時00分 公開

コンピュータ・アーキテクトのためのモーター制御SYSTEM DESIGN JOURNAL(4/5 ページ)

[Ron Wilson,Altera Corporation. MONOist]

振動制御

 FOCの有望な点の1つは、振動とそれに伴う騒音を制御できることです。そうした対策は、エネルギー効率や機械的信頼性の改善の他、機械的強度を必要以上に高く設計する必要性の低減につながります。その結果、例えば民生機器市場で600ドルで販売している洗濯機を、プレミアムモデルとして800ドルで販売することが可能になります。

 この原理も簡単です。振動が制御ループの不安定性限界の結果である場合、PIコントローラーのゲインを変更して臨界減衰に近づけることができます。あるいはモーターマウントやドライブシャフト、または負荷の機械的共振の結果である場合は、トルク信号からの励起周波数でエネルギーを遮断することで解消することが原理的に可能です。好都合なことに、FOC手法では3つの時間変化正弦波に変換される前のトルク信号に直接アクセスできるため、共振周波数でエネルギーを遮断するノッチフィルターを取り付けるだけで済みます。

 ループゲインへの干渉にせよ、誤差信号のフィルタリングにせよ、システムの動的速度および位置誤差に悪影響を与える可能性がありますが、多くのアプリケーションにおいてシャフト速度の一時的誤差は、円滑で静かな動作に重要な要因ではありません。

 振動制御には大きく3つの処理ブロックが必要です。シャフト位置または巻線電流データから周波数スペクトルを抽出する「高速フーリエ変換(FFT)」、スペクトル最大値を特定し、どう対処すべきかを決定する「検出・応答ブロック」、そしてトルク信号から原因周波数を除去する1個以上の「プログラマブルノッチフィルタ」です(図3)。

photo 図3.トルク・コントローラーと逆パーク変換の間のプログラマブルノッチフィルターにより、システムの共振振動を改善することが可能です

 どのブロックも、アプリケーションに応じて適切に設計する必要があります。FFTは、共振が一定または徐々に変化するシステムではスタートアップタスクまたはバックグラウンドタスクにすることも可能ですが、共振がすぐに移動する可能性があるシステムでは連続実行する必要があります。応答ブロックはアプリケーションによって大きく異なります。PIループ・ゲインの調整、フィルタの追加、フィルターパラメーターの選択に関する決定は、電気機械システム全体の特性に大きく左右されるからです。そのため、システムについてかなり詳細な知識がないと、振動制御に必要な計算負荷を推定することは不可能です。

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