12.9型の大型iPad「iPad Pro」はスマートフォン市場の飽和に対する、Appleの何らかのスタンスを示すものと言えます。
この編集後記を書いている当日(2015年9月25日)、Appleの新型スマートフォン「iPhone 6s」「iPhone 6s Plus」が販売開始されました。「s」とつくことから想像できるよう、これまで通り外観は既存モデルとほぼ変わりませんが、感圧タッチ「3D Touch」や高画素化したカメラ、同時に投入された新OSなど完成度を高める数々の要素がプラスされており、人気機種になることは間違いなさそうです。
個人的には、同時に発表された12.9型(2732×2048ピクセル)という大型ディスプレイを搭載した「iPad Pro」が気になっています。iPad Proは個人向けというよりも法人向けの色彩が強く、「スマートフォン市場の飽和」に対するAppleの回答の1つと考えられるからです。
低価格帯製品を除くとスマートフォン市場が飽和状態になりつつあるのは周知の事実ですが、「Surface Pro 3」のようなノートPCの置き換え対象としてのタブレット端末、もしくは、「VAIO Z Canvas」のようなデザインのプロフェッショナル向けツールとしてのタブレット端末はまだ飽和に至っておらず、成長の余地があると言われています。
しかし、前者を狙うにはiPad Proは高価(本体価格は799ドルからですが、キーボードとスタイラスペンを追加すると1000ドルを超える)であり、後者はその性格上、大規模な出荷数を見込めません。特にノートPCの置き換え対象として考えるとMacBookAirと同価格帯のタブレットへ乗り換えるという選択肢は企業内の担当者にとって選びにくいことでしょう。
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