レスキューロボコン、優勝チームは競技の枠を超え「もし、現場だったら」を考えたinrevium杯 第15回レスキューロボットコンテスト(2/4 ページ)

» 2015年08月17日 07時00分 公開
[三月兎MONOist]

 レスコン競技は、架空の研究所「国際レスキュー工学研究所」に設けられた実験フィールドで実施する。これは、大震災後の街並みを縮尺6分の1サイズにしたものだ。フィールドには、ガレキや崩れた家屋が散乱。現場は二次災害の恐れがあるため、人間が立ち入ることができない。そこに実験用レスキューダミーがロボットの救助を待っているという設定だ。従ってオペレーターは、遠隔操作するロボットで、ダミヤンを素早く発見し、優しく救助して安全な場所へ運ぶことがミッションとなる。

 競技でのポイントは、ダミヤンの救出、搬送、ダミヤンの身長や体重、胸のマーカーなどを読み取る個体識別、救出に掛かった時間に対して与えられる。

photo 6分の1サイズの市街地模型フィールドで、2チーム同時に救助活動を行う。各チームのロボットは、左右のロボットベースから出動し、所定のレスキュー活動時間(12分)内に3体のダミヤンを救助搬送する
photo 競技は架空の「国際レスキュー工学研究所内」に設営されている設定の実験フィールドで行われる
photo 競技前にスピーカーがチームのレスキューコンセプトをプレゼンテーションする。2015年大会のベストプレゼンテーション賞は、「MS-R(金沢工業大学 夢考房)」の稲垣遼君が受賞した
photo フィールド上空に設置されたカメラ(ヘリコプターからの映像を想定)の映像で、ダミヤンの救助作戦を立てる
photo 全てのロボットをロボットベースに乗せ、ゲートをくぐることができれば、ロボットの台数や形状に制限はない
photo 指令が下ると、ロボットが次々と出動し、フィールド内のガレキを除去し、要救助者のもとへ向かう
photo アイデアを凝らしたロボットが、協調してレスキュー活動を行う。家ガレキの中からダミヤンを救助するロボット。隣のロボットはサイドからの映像をコントロールルームに送ってサポートしている。
photo 要救助者役のダミヤン。サイズは大小あり、体重も違う。胸のマーカー、目の点滅パターン、音声周波数などで個体が識別される。速やかに治療を受けられるように、搬送完了前にコントロールルームにダミヤンの状況を伝えておく必要がある
photo ダミヤンインジケーターに、救助活動の進捗状況やダミヤンの状態がリアルタイムで表示される。ダミヤンには複数のセンサーが搭載されており、痛みを感じるとフィジカルポイントが減少する

 本稿で初めてレスコンの競技風景を見る人は、もしかしたら「現実のレスキューでは、ありえない!」「こんなロボットでレスキュー活動ができるわけがない」と思うかもしれない。

 実際の救助現場では、崩れかけた家の中から要救助者を助け出す場合、壊れかけた家のドアを開けたり、階段を上ったり、散乱する家財道具を除いたり……、考えられることは無数にある。

 これは、レスコンで競っているのがロボットの性能だけではなく、チームのレスキューコンセプトやレスキューシステム実現に向かう姿勢だからだ。そのため審査は事前に提出されるレスキュー方針を記述した書類から始まり、競技前には各チームのレスキューコンセプトをプレゼンテーションし、競技終了後には観客に向けて活動報告も行っている。

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