こうした自社製品のインダストリー4.0への対応を進める一方で、DMG森精機自身も2020年にシェア10%の獲得に向けた生産革新に取り組んでいる。同社は2020年に工作機械の生産能力を現在の年間1万2000台から1.5倍の1万8000台に引き上げる計画だ。既に工場の整備は完了しており、現在は強固なグローバルサプライチェーンの構築に向けた取り組みを進めているという。
サプライチェーンの強化に向た1つ目の取り組みが主要部品の内製化だ。森氏は欧州では創業者のリタイヤにより多くの主要サプライヤーが部品を供給できなくなり始めている状況指摘。「ドイツがインダストリー4.0を推進する背景にはこうした理由から部品調達が困難になることを回避しようとしている点がある」と同氏は述べる。DMG森精機では内製化した部品をグローバルに供給できる体制を構築するという。これに伴い部品の共通化も進め「共通化により2020年には部品の種類を従来の半分にする計画」(森氏)としている。
また奈良県の伊賀工場とドイツのプフロンテン工場を同社のマザー工場とし、それぞれに全く同じ生産ラインを設置。お互いの工場で情報共有が行える体制を構築したという。
こうしたグローバルな生産体制のさらなる強化に向け、合併以前の旧森精機製作所と旧ギルデマイスターのシステム統合をさまざまなレイヤーで進めている。3D CADや電気CADについては従来異なるメーカーのものを使用していたが、1つに統一して製品開発の環境を改善。BOMシステムは、旧森精機製作所はマトリックス形式で管理していたが、ギルデマイスターの階層を持つツリー形式のシステムに統一した。森氏は「現在、グローバルな生産体制を強化するには、国によって異なる製図規格の統一も進めていかなくてはいけないと考えている」と述べている。
この他にもマーケティングや営業に関するのものに加え、購買生産や保守パーツの管理などさまざまなシステムの統合を進めているという。森氏は「インダストリー4.0の考え方にのっとって、さまざまなシステムの連携を進めている。こうした取り組みの成果をシェアの拡大、ひいてはキャッシュフローとして反映させていきたい」と語った。
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