570Sと540Cは、サーキットで走行を重視するスーパーシリーズとは違い、実用性に重きを置いたスポーツカーとして開発された。その一方で、同社のチーフデザイナーを務めるロバート・メルヴィル氏が言うように、「最初のスケッチの特徴が量産モデルに反映され、美しく機能的に設計されている」など、マクラーレン・オートモーティブのロードカーの遺伝子が色濃く反映された外観となっている。
外形寸法は全長4530×全幅2095×全高1202mmで2車種とも同じ。車両重量は、570Sクーペの1313kgに対して、540Cが1311kgと若干軽くなっている。
エンジンはスポーツシリーズ向けに新規部品を30%用いた排気量3.8l(リットル)のV型8気筒ツインターボの「M838TE」を採用。最高出力は570Sクーペが570ps(7400rpm)、540Cクーペが540ps(7500rpm)、最大トルクは570Sクーペが600Nm(5000〜6500rpm)、540Cクーペが540Nm(3500〜6500rpm)。トランスミッションは、スーパーシリーズと同じ7速DCTで、ノーマル、スポーツ、トラックという3つの走行モードに切り替えられる。
加速性能は時速0〜100kmで、570Sクーペが3.2秒、540Cクーペが3.5秒、時速0〜200kmで、570Sクーペが9.5秒、540Cクーペが10.5秒。最高速度は、570Sクーペが時速328km、540Cクーペが時速320kmとなっている。「570Sクーペのパワーウェイトレシオは434ps/トンに達しており、これはスポーツシリーズより上位のランボルギーニの『ウラカン』(関連記事:ランボルギーニ「ウラカン」が国内発売、「あらゆる革新的な技術をつぎ込んだ」)を上回っている」(メルヴィル氏)という。
車両の実用性で重要なのは内装だろう。同社は、「モノセル」と呼ぶ炭素繊維樹脂製のシャシーによって軽量化を図っているが、スポーツシリーズのため新たな「モノセルII」を開発した。モノセルIIでは、フロントシルの幅をより狭くすることで床高さを80mm下げ、車室の乗降性を高めている。モノセルIIの重量は、従来のモノセルの75kgより5kg増えて80kgとなったが、アルミニウム製にするよりもはるかに軽いことに変わりはない。
またスーパーシリーズよりも室内長を11mm伸ばしたり、Aピラーを外側に移したりして室内スペースを拡大している。ダッシュボード中央にある車載情報機器「IRIS」は、約1億円のプラグインハイブリッドスーパーカー「McLaren P1」で採用された技術を発展させたものだ。インストルメントパネルにTFT液晶ディスプレイを用いているのもP1と同じで、さらにスポーツシリーズではターンバイターン方式のカーナビゲーション表示も行えるようになった。
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