一方、あまりルール化されていない基本設計の方式選定の部分は、かなり属人化しているのが現状で、基本設計のコストレベルを大きく左右する。しかし、「方式選定のルール化も、設計情報を分析していけば必ずできる」と北山氏は述べる。
顧客の要求は毎回異なるが、「それらは『要求項目』と『要求値』の2つに分離できる」(北山氏)。過去の要求を5年ほどさかのぼれば、ほぼ全ての要求項目は出尽くす。つまり、毎回異なるのは要求値であり、要求項目自体は前もってリストアップできるもので、標準化することが可能だという。「現場で過去5年間の要求項目を把握している人は意外に少ないだろう。しかし、本当に設計力の強化をしたければ、このリストをまず作ることだ。これはたった2、3日でできること。新人に任せてもいいだろう。これは非常に大事な資産になる」(北山氏)。
標準設計を行うためには、まず図面で決められているアウトプットの諸元が何なのかをしっかりと整理するべきだという。図面には図番が付いている。それはつまり、必ず何かの諸元が異なるということだ。それらの設計諸元を洗い出し、一覧表にすれば、どうしてこの寸法にしたのかと疑問に思うような点が見えてくる(図2)「そういった場合に、理由をベテラン設計者に聞きに行く。そうすれば、その結果になった事情がたくさん出てくる。これらが大きな財産になる」(北山氏)という。
「ベテランにただ『ナレッジを文書化してください』と言っても成功しない。ポンチ絵と共に説明してもらい、新人がそれを文書化してレビューを必ず行う。そして、基本的ルールは中堅が担当する。それぞれが役割分担して、しっかりと手順を踏んで情報を分離していけば、必ずナレッジは出てくる」と北山氏は述べる。
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