華やかさに欠けたジュネーブショーと勢い増すフォルクスワーゲングループジュネーブモーターショー2015(3/4 ページ)

» 2015年03月11日 09時00分 公開
[川端由美,MONOist]

アウディの「R8」が12年ぶりにフルモデルチェンジ

 Audi(アウディ)がスーパースポーツカーに進出するとして、2003年に衝撃的なデビューを果たした「R8」は、12年の時を経てようやく第2世代目がデビューした。同じグループに属するランボルギーニの「ウラカン」とベースを共有するのはご存じの通りだが、その分、スタイリングでアウディらしさを強調している。押し出しの強いフロントグリルと特徴あるLEDヘッドランプは、先んじて発表された「TT」と共通するアイコンだ。サイドのシャープな面構成は、2代目ではピラー付近で分断されて、新しい表情を生んでいる。


新型「R8」の外観(クリックで拡大)

 初期には排気量4.2lのV型8気筒エンジンを搭載していたが、今回のフルモデルチェンジでは、V型10気筒エンジンのみとなった。ベースの「R8 V10」(最高出力540ps/最大トルク540Nm)と上級グレードの「R8 V10プラス」(同610ps/560Nm)の2機種がラインアップされる。上級グレードはカーボンのリヤウイングを装着するなど、見た目でもレーシーな雰囲気が増している。中身についても、プラットフォームを共有するウラカンと同じ動力性能を得ており、時速0〜100kmの加速を3.2秒まで短縮してきた。

 一方で、アルミニウム素材とカーボン複合材といった軽量素材をふんだんに使って50kgの軽量化を果たしたとするものの、車量重量は約30kgほど重くなった。駆動方式には、アウディ自慢の四輪駆動システム「クワトロ」をもちろん採用し、前0:後100から前100:後0まで前後のトルクを自由自在に配分できる。

 また「R8」をベースにした電気自動車「R8 e-tron 2.0」も発表した。初代にも電気自動車(EV)のコンセプトカーは存在したが、実用性などの課題が大きく、市販にこぎつけられなかった。しかし第2世代では、リチウムイオン電池の容量を初代の約2倍にあたる92kWhに高め、1回の充電で走行可能な距離を約450kmまで伸ばした。前後に1基ずつ、合計2基のモーターを搭載しており、最高出力462ps/最大トルク920Nmの大トルクを4輪に伝える。最高時速は200kmを越えて、時速0〜100kmの加速も3.9秒と、スーパースポーツカー並みの性能を誇る。さらに、レース専用の「GT3」も追加される予定だ。

「R8 e-tron 2.0」の外観(クリックで拡大) 出典:アウディ

 アウディは、この他に大型SUV「Q7」のプラグインハイブリッド版である「Q7 e-tron クワトロ」と、アウディのレース部門を担当するクワトロGMbH製の「RS3」を発表した。Q7 e-tron クワトロは、排気量3lのV型6気筒ターボ付きディーゼルエンジンと、最高出力94kWの電気モーターを組み合わせることにより、システム全体で最高出力373ps/最大トルク700Nmを発揮する。一方で、CO2排出量は50g/km以下に抑えており、モーターだけで行うEV走行については1回の充電で50km以上が可能となっている。

「Q7 e-tron クワトロ」(左)と「RS3」(右)の外観(クリックで拡大) 出典:アウディ

 RS3は一族の中で最小のスポーツハッチバックだ。アウディでは、同ブランドのスポーツモデルを「S」、レース部門のクワトロ社によるスポーツモデルを「RS」として区別している。排気量2.5lの直列5気筒ガソリンエンジンをフロントに横置きし、最高出力367psを生み出す。

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