では実際に、GUIベースの開発環境「Choregraphe」でモーションを作ってみよう。Timelineボックスを使う前に、まず覚えて欲しいのがポーズの指定方法だ。ポーズのデータは、モーションを構成する基本要素である。ポーズを指定するには、Pepper実機を使う方法と仮想ロボットを使う方法があるのだが、まずは仮想ロボットの方法から見ていく。
Choregraphe右下に表示されている仮想ロボットの画面で、動かしたい場所をクリックすると、カラフルなリングが現れる。これは「ローテーションハンドル」と呼ばれるもので、1つのリングが1自由度に対応している。左ドラッグでリングを回せば、対応する関節の角度を変えることができる。リングが操作しにくい角度だったら、右ドラッグでPepperの向きを変えれば良い。
また同時に、モーションダイアログのウィンドウも表示されていたはずだ。このウィンドウのスライダーを使っても、全く同じように関節を動かすことができる。直接、数字を入力することもできるので、角度を正確に指定したい場合は便利だ。どちらでも構わないので、使いやすい方を使えば良いだろう。
この作業を各関節に対し繰り返すことで、1つのポーズを作っていく。動かす関節が多いと手間がかかるが、もし両腕が左右対称の動きであれば、モーションダイアログで「反転」にチェックを入れておけば、片腕を動かすだけで反対の腕にも変更が反映される。関節の構造上、どうしても実現できないポーズがあるものの、これはハードウェア上の仕様なので、動かせる範囲で、なるべくそのポーズに近づけるしかない。
仮想ロボットだと、動かす関節が多いと入力がちょっと大変だが、Pepper実機があれば、ロボットに触りながら、直感的なポーズの指定も可能だ。Pepperに接続した後、Choregrapheのボタンを押して、Pepperをアニメーションモードに変更。モードが変わっていれば、Pepperの目がオレンジ色に光っているはずだ。
ここで、例えばPepperの左腕を動かしたいのであれば、左手の甲にタッチ。触っている間、左腕のモーターが脱力するので、好きなように動かして、ポーズを決めることができる。アニメーションモードで動かしたロボットのポーズは、そのままChoregrapheに反映される。つまり、ロボットを入力デバイスとして、ポーズを指定するわけだ。
作ったポーズは、Choregraphe右上のポーズライブラリに保存することもできる。良く使うポーズがあれば、ここで登録しておくと良いだろう。ポーズライブラリのポーズをダブルクリックすると、実機/仮想ロボットのポーズに反映される。Pepperのポーズを初期状態に戻したいときは、「Stand」または「StandInit」をダブルクリックすれば良い。
なおPepperには、自傷を防止する機能がある。例えば、わざと腕を頭に当てようとしてみても、衝突しないように、自動でポーズが修正される。この機能のおかげで安全性は高いのだが、予想と違った動きになることもあるので注意が必要だ。
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