パナソニックは「2020年のおもてなし」をテーマとした関係者向け展示会を開催。2020年夏に開催される東京オリンピックをにらみ、さまざまな“おもてなしアイデア”を披露した。
パナソニックは2015年2月10日、「2020年のおもてなし」をテーマとした関係者向け展示会“Wonder Japan Solutions”を開催した。2020年夏に開催される東京オリンピックをにらみ、海外からの観光客に対応するための自動翻訳ソリューションやRFIDを利用した認証および決済システムの他、暑さや災害対策のソリューションなども紹介した。
本展示会はあくまでも同社の新技術や新ソリューションを紹介し、それらを利用したアイデアを提案する場と位置付けられている。同社 役員の井戸正弘氏は「生活インフラは1社で完結しないものであり、社会の課題にはオールジャパンで取り組む必要がある。この展示会は他社との協業もにらみ、未来への取り組みを示すものだ」と、あくまでもパナソニックの考える“2020年のおもてなしアイデア”を関係者に提案する場所だと強調する。
最も大掛かりなシステムがRFIDタグを利用した認証・決済ソリューション「Wonder Japan Pass」だ。海外からの旅行者がストレスなく国内観光を楽しめるようにと、タグに宿泊先などの個人情報や決済手段を記録し、デバイスをかざすだけでさまざまなサービスを受けられる。顔認証と組み合わせた情報紹介能も合わせて用意し、なりすましなど不正使用を防ぐ仕組みも紹介していた。
Wonder Japan Passが想定する利用範囲は非常に広い。入国時にパスポートとひも付けして個人情報をタグに転記すれば本人確認用デバイスとして機能し、血液型やアレルギーなどの情報も記録しておけば不意の事態への備えともなる。事前に購入したイベント観覧チケットをWonder Japan Passにひも付けしておけば、紙のチケットを持参する必要がなくなり、紛失の防止にもつながる。
宿泊先ではルームキーとして機能する他、登録済みの母国語に応じた翻訳サービスを受けられ、出国時には付加価値税(VAT)の還付手続きもWonder Japan PassをかざすだけでOKだ。
海外からの旅行者が最も困る、そして応対する側も困るのが言葉の問題。この展示会でパナソニックがその解消方法として提案するのが、同社とNICT(情報通信研究機構)が共同開発した10カ国語対応の自動翻訳システムだ。翻訳エンジンはNICT、集音マイクや液晶などデバイス側をパナソニックが担当しており、展示会では名刺サイズのポータブル型と周辺地図なども同時に表示する据え置き型の2種類が用意された。
翻訳エンジンはクラウド側に用意されておりネットワークを介して自動翻訳を行うが、会場ではタイムラグもなく、自然な翻訳であることが紹介された。対応言語は日本語、英語、中国語、韓国語、スペイン語、フランス語、タイ語、ベトナム語、ミャンマー語、インドネシア語。宿泊施設や交番、交通などの他、防災などでの活用を狙う。
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