次に、アップルの本社がある米国で、島野製作所が特許侵害訴訟を提起する可能性の有無を推察することにしました。そこで、日本で特許権が成立した「特許5280511号(親出願)および特許5449597号(分割による子出願)」について、島野製作所が外国特許出願を行っているか否かを調べてみました。
日本で特許侵害訴訟の対象とした「接触端子特許」2件のうち「外国出願を予見させる優先権証明書請求」があるのは特許5280511号(親出願)「接触端子」1件だけです。そこでこの特許について、特許データベースEspacenetを使って、ファミリー特許を調べてみました(検索日:2014年12月2日)。
Espacenetでの検索結果には、ファミリー特許群として、JP5280511(B2)、US2013203300(A1)、TW201312855(A)、WO2013035399(A1)、EP2743707(A1)、CN103282785(A)が記載されていました。そのため、特許5280511号(日本登録:親出願)には、米国(US)、台湾(TW)、WO(PCT出願)、欧州(EP)、中国(CN)の各国/地域に、公開特許(記号:A1、A)があることが分かります。
アップル本社のある米国にも、島野製作所の米国公開特許US2013203300(発明の名称:Contact Terminal)があります。そこで、この特許が現段階で、どのような状況にあるかを米国特許庁(USPTO)データベースでの調査を試みました(検索日:2014年12月2日)。
USPTOの「Patent Application Information(PAIR)」を利用すれば、米国特許の経過情報調査が可能です。以下に今回の調査手順を紹介します。
米国特許の経過情報を「コラム2に記載した方法」で確認すると、Transaction Historyから次のことが分かりました(2014年12月2日現在)。
この情報を見れば、島野製作所が保有する米国特許権に基づきアップルを米国で訴えることも可能であることが分かります。また、それ以上に、アップルの本拠である米国でも特許権を得ていることは、島野製作所が進めている、日本での特許訴訟の戦略上の援軍にもなるでしょう。
それでは次ページでは「島野製作所の日本特許」に対抗する「アップルの日本特許」があるかどうかを調べてみましょう。
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