―― Sparkの展開において3DプリンタEmberの位置付けをどのように考えていますか。
カテル氏 Emberは、Sparkのリファレンスモデルとしての位置付けだ。Sparkが本当に価値があるものなのかどうかを示すとともに、実際にエンドユーザーに提供する3Dプリンタとして価値を与えるために作り込んでいく必要があるからだ。特にユーザーインタフェース(UI)の検証などは実際に製品の形にしなければ分からない部分も多い。
―― ビジネスとして3Dプリンタを積極的に販売していく方針はないということですか。
カテル氏 EmberはSparkをよりよいものに仕上げていくためのリファレンスという位置付けは当面は変わらない。米ストラタシスや米3Dシステムズなど、現在3Dプリンタを販売しているハードウェアメーカーと市場を争うつもりはない。
われわれが考えているのは、5〜10年後に市場全体が何十億米ドル以上も成長するということだ。そうすれば、われわれが得意とする3Dデータに関連するソフトウェア市場も自動的に成長する。海で潮が満ちるように全体の底上げができれば、必然的にわれわれのポジションも上がる。例えば、スマートフォン市場ではAndroidが登場したことで、韓国サムスン電子や台湾のHTCなど数多くのメーカーがチャンスをつかんで成長した。3Dプリンタでも同じような土台を作ることが重要だ。
―― Emberの今後のモデル展開について教えてください。
カテル氏 リファレンスモデルであるので、それぞれの方式や素材、エンドユーザーのメリットなどに応じて、実際にハードウェアを形にする必要が出てくれば、順次リリースしていく方針だ。例えば、金属素材への対応などでは、新たなリファレンスモデルを出す必要性が出てくるだろう。また、宝石のデザインなど限られた用途でのニーズなどもあり、そういう用途ベースでのリファレンスモデルも必要になるかもしれない。そういう意味ではEmberはそれそのものでビジネスを成立させるというものではなく、ビジネス領域を切り開き続ける“永遠のリファレンスモデル”ということがいえるかもしれない。
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