Windnautsの機体は、展示機体で翼長約33m、アスペクト比(翼幅2/翼の平面積)約39と主翼の長い優雅な姿を持つ。人力飛行機では効率を追求するためにアスペクト比を大きくする。性能面での特徴は、何と言っても「軽いこと」、そして「精度の高さ」だ。機体の重量は約30kgで、同じ部門の機体の中でも最軽量クラスだという。この軽さを実現するために、独自の骨組みを自作する、主翼に初期上反角を付けるといったさまざまな工夫が凝らされている。
機体の概形は以下の図のようになる。
胴体桁(けた)、主翼、水平尾翼(エレベータ)、垂直尾翼(ラダー)、プロペラ、そして人が乗るコックピットとその外側を覆うフェアリングからなる、比較的シンプルな構造だ。なお他チームでは無尾翼機や1枚ブレードのプロペラ、2人乗りなどバラエティに富んだ機体が出場するのも見どころの1つだ。操作系はプロペラを回すためのペダルと上昇・下降操作のエレベータおよび左右操作のラダーからなる。なおタイムトライアル部門では旋回スピードも重要になるため、エルロンやスポイラーといったロールを制御する装置も取り付ける。機体速度が秒速7mの際の設計出力で220W程度。主翼の翼型(断面の形状)は、115.11kmという人力飛行機の世界記録を持つ「ダイダロス88」の物を採用している。ディスタンス部門ではほとんどのチームが同じ型、タイムトライアル部門では同部門の飛行に適したさまざまな翼型を組み合わせているという。
新しい飛行機作りは、7月の大会が終わった直後から始まる。作業は主翼、コクピット、駆動、操舵、プロペラ、フェアリング、電装の7つの班に分かれて行う。またCFRP製の骨材を作る「桁焼き」と呼ばれる作業はチーム全員総出で取り組む。設計の後、機体製作に取り掛かり、翌年の3月に機体が完成してから荷重試験などを実施し、5月から飛行テスト、7月に本番を迎える。
全体設計は2011年には桂朋生さん、2012年には小田信太郎さんが担当した。その年ごとのパイロットに合わせ、かつ新しいアイデアを盛り込みながら設計を行っていくという。全体設計は基本的に2次元ツールで行うことが多く、フェアリングについては3次元ツールでモデリング、解析する。駆動方式をチェーンからギア駆動に変更した際に、3次元ツールを使った方が設計が早いということで、大学で導入されており強度計算も行えるSolidWorksを利用し始めたという。コックピットの構造解析はExcelを使い、フェアリングはSolidWorks上で流体解析するなど随時使い分けている。
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