シトリックス・システムズ・ジャパンはユーザーイベント「Citrix Mobility」を開催。そのセッションで、レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ ビジネス開発の大月哲史氏が、3次元CADを仮想デスクトップで扱えるようになった理由と、その価値について解説した。
シトリックス・システムズ・ジャパンは2014年11月18日、都内でユーザーイベント「Citrix Mobility」を開催。そのセッションで、レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ ビジネス開発の大月哲史氏が、3次元CADを仮想デスクトップで扱えるようになった理由と、その価値について解説した。
デスクトップ仮想化とは、クライアントPC(ワークステーション)のデスクトップ環境をサーバ上で稼働させる仕組みのこと。「VDI(Virtual Desktop Infrastructure)」などとも呼ばれている。ネットワーク環境さえあれば、ネットワーク経由でサーバ内のデスクトップ環境をどの端末でも呼び出すことができ、端末環境によらないワークスタイルを構築できる点が利点だ。また、機密情報の漏えいを抑えることができる他、BCP(事業継続計画)への対応面でも効果を発揮する。
オフィス環境で先行して普及が進むデスクトップ仮想化のメリットを生かそうと、設計環境においてもCADを仮想デスクトップ環境として使おうとする動きは以前から存在した。しかし、当初はコストが非常に高かったため、ほとんど普及が進まなかった。
その理由について、レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ ビジネス開発の大月哲史氏は「3次元CADを自在に扱うためには高いグラフィック表示能力が必要となり、グラフィックボードを追加する必要があるが、通常のサーバでは物理的に最大で2枚しか追加できないため、サーバ1台当たり最大で2ユーザーしか利用できず、1ユーザー当たり100万円以上という非常に高額な利用料となっていた。結果としてユーザー企業には『現実的ではない』と思われていた」と語る。
その状況が変わったのが2013年3月に発表された、NVIDIAのGPUボード「NVIDIA GRID K1/K2」の登場だ。同製品はサーバに搭載する仮想化前提のグラフィックボードで、これにより1台のサーバに搭載されるGPU数を「K1」で8個、K2で4個増やすことが可能となる。さらに、vGPU技術が登場し、ハードウェアによるGPUシェアができるようになり、1台のサーバに集約可能なGPU数が8倍に増え、一気にユーザー1人当たりのコストを下げることが可能になった。また、PTCやシーメンスPLMソフトウェアなどCADソフトウェアベンダーが一斉に正式対応を表明するようになった動きもある(関連記事:シーメンスPLMの「NX」がプライベート・クラウド環境で利用可能に)。
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