ミライでは、小型化したFCスタックと昇圧コンバータを一体化したユニットが前部座席の床下に収められている。走行用モーターやパワーコントロールユニットはエンジンルーム、水素タンクとニッケル水素電池は車両後部に配置した。
これら燃料電池車の主要部品をバランスよく配置することで、前輪駆動でありながら車両の重量配分を前58:後42にすることができた。FCスタックと昇圧コンバータの床下配置で低重心化も図られている。補強部材を追加することで捻り剛性をFCHV-advよりも40〜60%高めるなどして車体剛性も高めた。さらに、低回転時に大きなトルクを出せるモーターの特性も加わって、「コーナリングのときにアクセルを踏んでも振られない、しっかりとした走りを実現できた」(ミライの開発責任者でトヨタ自動車 製品企画部 ZF 主査を務める田中義和氏)という。
このように走行性能を妥協しなかった一方で、前部座席の床下に収めたFCスタックと昇圧コンバータの影響により、後部座席中央部の足回りの余裕がなくなった。田中氏は、「そこで、後部座席をセパレートシートにして、大人4人がゆったり乗れる、プレミアム感のある車室構成にした。また荷室についても、9.5インチのゴルフバッグが3個入るレベルの容積を確保している。700万円という価格帯のクルマである以上、無理に5人乗りにこだわるのではなく、プレミアム感と荷室の広さ、そして走りの楽しさを重視した」と説明している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.