他業界と比べて圧倒的に転職希望者が少ないというプラントエンジニアリング業界。そのために求人情報が増えても転職希望者は少ないままで、かなりの“売り手市場”になっているとジェイ エイ シー リクルートメントの上野氏は指摘している。
本記事は人材紹介会社「JAC Recruitment」掲載の記事に加筆・編集して転載しています。
国内では各業種での新規工場建設需要は年々縮小傾向にある一方で、新エネルギー関連のプラント建設需要は活況を呈しています。原発問題から再生可能エネルギーを推進する政策の後押しもあり、国や各自治体からの太陽光・風力・地熱・バイオマスなどの再生可能エネルギープラントの建設需要が増加しています。
なお、プラント建設後の運転管理・保守点検(O&M)分野については、景気動向に左右されにくいため、大きな変化は見受けられません。
海外動向としては、LNGプラント建設需要増がトピックとして目立ちますが、東南アジアやアフリカなどの発展途上国での社会インフラの建設需要も増大しています。日本の高い技術提供を望む国が多く、日本の主要エンジニアリング会社も発展途上国でのニーズを獲得すべく、海外展開を加速させるために採用を強化しています。
ODA予算も他国と比べいまだ高い水準にあり、日本の建設業界の景気を後押しする要因の一つといえます。海外競合企業の参入も盛んで、低予算でプロジェクトを受注する韓国エンジニアリング企業も目立つため、今後はより専門技術を持った競争力の高いエンジニアリング会社が強みを発揮するようになるでしょう。
プラントエンジニアリング業界全体の採用数としては、今年は例年に比べ、各社採用数が大幅に増加しています。
企業の採用ニーズとしては、大手であれば本社でのエンジニアリング(基本設計)の採用がメインで、コンストラクション(工事・施工)分野の採用はほとんどありません。
一方、中小エンジニアリング会社は、コンストラクション分野(施工、据え付けなど)での採用が主流のため、国内であれば転職するのに資格が必須になります。
採用が活発となっている大手エンジニアリング会社では、次のような条件を満たしていると、採用される確率が大幅に上がるようです。
これらの点は、今後の市場動向を鑑みた際に、「強いキャリア」を形成するためにも必要なスキルです。
今後のプラント建設の舞台は、海外にシフトしていくでしょう。発展途上国のプラント建設の場合、詳細設計や施工はローカルの企業が担当することが多く、求められるのは高いレベルでの「プロジェクトマネジメント」となり、その能力を持つ人材は多くの企業から歓迎されます。
プラント業界は他業界と比較した際に、圧倒的に転職者が少ない業界です。
「大手でより大きなプロジェクトに挑戦したい」「海外プロジェクトに参加したい」などの希望を持ちつつも、周囲で転職をしている方の事例が少ないためか、転職活動に対して消極的な方が多いと感じています。
一方で市場の求人は増えています。年収アップが見込める求人、スキルアップが望める求人と魅力的な求人が多く、まさに売り手市場と言える状況が続いています。
新卒の採用とは違い、中途採用は競合する候補者が少ないため、経験さえマッチすれば内定を獲得できる確率は非常に高いです。
それなのに転職をお考えの方とお話をしていると、現職で悩みを抱えたまま「もう少し経験を積んでから考えよう」「どこの会社も状況は変わらないだろう」と、なかなか転職活動に踏み切れない方がたくさんいらっしゃいます。
悩んだままでは状況は変わりません。自身の市場価値を客観的に判断するため、市場にどのような求人があるのか調べてみるため、そして自身のキャリアアップの可能性を探るためにも、転職エージェントを1度活用してみてはいかがでしょうか。
リクルートメントコンサルタント:上野 浩幸 (ウエノ ヒロユキ)
ジェイ エイ シー リクルートメント Energy Infra Plant Team
JAC Recruitment入社後、一貫してプラントエンジニアリング、建設コンサルタント企業を担当。企業と密にコミュニケーションをとり、転職者へご提供できる情報量・質を重視した選考通過率をアップさせるためのアドバイスが強み。採用予定のポジションがなくとも企業へ転職希望者を提案するなど、転職者のキャリア選択肢を広げるために尽力している。
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