今回クルマに関しての新しい情報となったのが「第3のデザイン」である。2015年の年央に発売される予定だという。
このデザインと、発表のタイミングも興味深い。
今回公開された第3のデザインは、フロント、リヤ共に丸形の灯火器を持つデザインとなっており、初代コペンのイメージを継承しているモデルのようにも見える。
ここからは2つほど解釈をしてみた。1つは、ここまで印象の異なるクルマを「着せ替え」で作ることができるというDRESS-FORMATIONの可能性の提示。ローブとXモデルはそれぞれテイストの異なるエクステリアデザインのクルマではあるが、灯火器を共用していることもあり、Xモデルは比較的シンプルなローブの派生車種と見えなくもない。
これが第3のモデルのように、変更範囲を外板のみならず灯火器まで拡大すると、かなり印象の異なるクルマを仕立てることができる。これはユーザーにとってもアフターマーケットにとっても、DRESS-FORMATIONの可能性を示すサインにもなるだろう。
そしてもう1つの解釈は、最初から第3のデザインを展開する予定で、公開タイミングを今回の発表会としたという見方だ。初代コペンは10年にわたり販売が継続したモデルだけに、そのデザインに思い入れがあるユーザーも少なくないことは容易に想像できる。スポーツカーのようなユーザーのライフスタイルを反映する要素が強いクルマは、ファン顧客とどう向き合うかということも重要な要素となる。
当然新型コペンの開発サイドでも、初代コペンのファン顧客の存在は認識していたはず。「第3のデザイン」モデルの発売予定アナウンスにはこういった人たちへのメッセージも含まれているようにも感じる。
デザインは、モノを世の中に送り出す作り手の考えを視覚化したものだ。受け取り手であるユーザーが視覚化された考えに共感してくれればそれはプレゼントになる。新型コペンでは、「今まで通りのモデルチェンジを続けていたのではお客さまに選ばれなくなる」(藤下氏)、という危機感を持ち、これまでの延長線ではない新しい取り組みを行うという意志表示からも、まずは初代コペンのイメージとは異なるローブのボディからスタートすべきという選択をした。だけど初代コペンに思い入れがあるユーザーのことも忘れてませんよ、と。第3のモデルには、そんなストーリーがあっても不思議ではない。
同時に、こうして着せ替えボディのことを考えていると、クルマというより、タミヤのラジコンやミニ四駆で「次に出るボディは何だろう?」みたいな気軽な感覚になるのは、自分でも面白い。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.