今回の発表会では、販売面での取り組みやユーザーとのつながりについての説明も行われた。
概要としては、以下の3つにまとめられるだろう。
これらのうち(2)と(3)は、営業の取り組みとして、「地元に根ざした」、「地域の特色を生かした」活動を進めるとした。「Love Local by COPEN」というキーワードも紹介された。
これらからは、顧客との関係性を作る取り組みを始めようという意気込みを感じる。しかし同時に疑問も沸いた。従来から販社の多くは地域企業により運営されているだろうに、なぜことさらに今、「地元」や「ローカル」といった言葉を使うのだろう? と。
コペン公式サイト内では、抽選で選ばれたユーザー向けのプロトタイプ車両によるテストドライブイベント会場における藤下氏の言葉が紹介されている「買うで終わらない、買うから始まる新しいお客さまとクルマ、そしてダイハツとの関係を作っていきたい」(同氏)。答えの1つがここにあるように思う。
従来、クルマを買ってもらった後、販売店側とユーザーが関わるタイミングは、たまの点検とか数年に一度の車検の時くらいしかないのかもしれない。この状況を打開するために、特に用事がなくても立ち寄れる場と、DRESS-FORMATIONといった世間話のタネを用意することで、購入前、購入時、購入後という長期に渡るシーンで価値提供を行い、1人の顧客から得る生涯収益を拡大しようということ。マーケティングの教科書的に言うところのライフタイムバリューの最大化というやつだ。
わざわざ掲げた「Love Local by COPEN」というキーワードは、「ダイハツが新しい取り組みを行う」というユーザーへのメッセージのみならず、「ビジネスモデルを変化させていくスタートが新型コペンである」というメーカーから販社へのメッセージも込められているのではないだろうか。「今までと同じことの続きでは将来存在価値がなくなるかもよ?」と。
他にも、これからのクルマの流通の変化に備えて、ディーラーも変化させていくという要素もあるように思う。書籍の通販がメインビジネスだったアマゾンが、いつの間にか販売商品メニューに中古車を載せている時代だ。急激な変化は起こらないかもしれないが、新車だろうが中古車だろうがユーザーにとってクルマを購入するためのチャネルは増えてくるだろう。一方で、国内の自動車販売台数は1990年をピークに減少傾向にある。となれば、ユーザーがどこで購入したクルマであろうとディーラーに来てもらい、そこから収益へとつながる仕組みを、今から構築しておきたいという考えがあっても不思議ではない。
DRESS-FORMATIONが持つクルマの可能性や、コペンサイトという場、ユーザー接点の最前にいるコペンスタイリスト。こういった要素の歯車がうまくかみ合わさって回転し始めると、これまでとは異なる姿のディーラー像ができてくるのかもしれない。少量生産の新型コペンは、そういったことにトライするのにもいい材料だ。
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