生産においては、設備償却費や労務費のように、生産量の増減にかかわらず発生する費用である固定費が存在します。全部原価を採用した場合には、この固定費を生産量や生産高の比率などに応じて個々の製品に割り振ることになります。
例えば、100万円の固定費を生産量100個の製品Aに割り振る場合は、固定費分として1個当たり1万円のコストが算入されることになります。ここで、この製品Aをいくつ売れば事業しての採算が合うのかを検討する場合、「1個当たりの利益(販売単価−1個当たり原価)× 販売個数」として考えると、販売個数が100個を下回っている場合には固定費分100万円の採算が取れているかどうかが分からなくなります。
そこで直接原価という概念を採用することにより売上高、販売個数と直接原価の関係からどの程度、固定費分の費用がカバーできているかということを確認できるようになります。また、上の例では製品A100個に固定費を割り振りましたが、実際には多品種変量生産が行われている中で、固定費の割り振りは非常に難しい問題となります。そのため、直接原価で固定費分のカバーがどの程度できているかを捉えることでより正確な判断が可能となります。
「原価で飲めるバー」についての情報を期待されていた読者の皆さまには申し訳ありませんでしたが、「原価」についていろいろな種類があることを理解いただけたかと思います。次回は、さらに原価の計算方法について紹介していきたいと思います。
(次回に続く)
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