ホンダ「インサイト」は2014年2月末で生産終了せず、海外向けに6月末まで継続エコカー技術

ホンダは、鈴鹿製作所(三重県鈴鹿市)におけるハイブリッド車「インサイト」の生産について、国内向けは2014年2月末、海外向けは2014年6月末に終了する方針を明らかにした。

» 2014年02月26日 12時15分 公開
[朴尚洙,MONOist]
2009年2月発表の「インサイト」と当時ホンダ社長だった福井威夫氏

 ホンダは、2009年2月に市場投入したハイブリッド車「インサイト」の生産を終了する。同社は、国内向けと海外向けを含めた全てのインサイトの生産を鈴鹿製作所(三重県鈴鹿市)で行っている。このうち、国内向けは2014年2月末、海外向けは2014年6月末に生産を終了する方針である。

 インサイトの生産終了の理由は2つ。販売台数の落ち込みと、次世代ハイブリッドシステムへの移行を進めるホンダの事業方針である。

 インサイトの発売当初は、189万円からという安価な価格と、30.0km/l(リットル)という良好な燃費(10・15モード)もあって好調な販売と記録していた(関連記事:新型「インサイト」、ハイブリッドシステムのコストを4割削減)。しかし、トヨタ自動車が2009年5月に発表した3代目「プリウス」が、価格を205万円からに設定し、10・15モード燃費で38.0km/lを達成するなど、徹底的にインサイトに対抗したこともあって、その後販売台数は低下していた(関連記事:3代目「プリウス」、ハイブリッドシステムのコストを2/3に削減)。

2009年2月発表の「インサイト」と当時ホンダ社長だった福井威夫氏 2009年2月発表の「インサイト」と当時ホンダ社長だった福井威夫氏(クリックで拡大)

 2013年(暦年)のインサイトの販売台数は、国内が3880台、海外が1万1951台。2012年9月末までの累計販売台数が26万5346台だったことを考えると、現在の販売台数はかなり落ち込んでいると言わざるを得ない(関連記事:ホンダがハイブリッド車の世界累計販売100万台を達成、トップは「シビックHEV」)。

 またホンダは、インサイトに搭載していたハイブリッドシステム「IMA」に替えて、新たに開発した3種類のハイブリッドシステムを車両のサイズに合わせて展開する方針を打ち出している(関連記事:2013年のホンダはハイブリッドで攻勢、車載リチウムイオン電池も3倍に増産)。小型車向けの「i-DCD」は「フィット ハイブリッド」や「ヴェゼル ハイブリッド」、中型車向けの「i-MMD」は「アコード ハイブリッド」、大型車向けの「SH-AWD」は「Acura」ブランドの「RLX」などに搭載されており、それぞれ好調に販売台数を伸ばしている。

 なお、IMAを搭載する車両には、「CR-Z」や「フィット シャトル ハイブリッド」、「フリード ハイブリッド」などがある。これらの車両の生産終了や、次世代ハイブリッドシステムへの移行についての予定はまだ明らかになっていない。

「プリウス」よりも先に海外展開した「インサイト」

 インサイトは、1999年11月に市場投入されたホンダ初のハイブリッド車である。この初代インサイトは、軽量のアルミボディを採用した2人乗りの車両で、排気量1l(リットル)エンジンと補助動力としてのモーターを搭載する軽量のハイブリッドシステム「IMA」を搭載。10・15モード燃費は当時の最高記録となる35.0km/lを達成した(5段変速マニュアルトランスミッション搭載車)。海外展開も、トヨタ自動車のプリウスより先に行っている。その後、国内外で累計約1万7000台を販売し、2006年7月に生産を終了している。

ホンダ初のハイブリッド車となった初代「インサイト」 ホンダ初のハイブリッド車となった初代「インサイト」(クリックで拡大) 出典:ホンダ

 この初代インサイトから約2年半を経た2009年2月、200万円以下の本格量産タイプのハイブリッド車として市場投入されたのが2代目インサイトである。結果的に2代目インサイトは、3代目プリウスが徹底的に対抗したこともあって累計の販売台数はふるわなかったが、この時に行ったIMAの大幅なコスト削減が、ホンダのハイブリッド車の多車種展開につながった。

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