設計計算や制御計算など高度な活用から、日常使いのローエンドな活用まで幅広い、無償の工学技術計算ツール「PTC Mathcad Express」を使ってみた。「単位をごっちゃにして数式を書いても計算してくれる」など便利機能がいろいろある。仕事での面倒くさい計算が楽しくなる、かも!?
「工学技術計算ツール」というと、「難解で使いこなせない」というイメージを持つ人も少なくないだろう。PTCの工学技術計算ツール「PTC Mathcad Prime」(以下、Mathcad)は、もちろん複雑で難解な工学技術計算も得意だが、「数式が自動認識される文書ソフト」としても利用できる。基本的な操作もWordなど文書ソフトを使う感覚で、すぐに覚えられる。
無償版「PTC Mathcad Express」が、“使える”上に、無期限で使用可能だ。本記事では、そんな無償版の基本的な機能を中心に取り上げる。なお無償で使うにあたっては、PTCのユーザー登録(無料)が必要となる。
記事最後では、有償版について少し紹介する。試用期間の30日以内であれば有償版に含まれる機能も無償で利用できる。
Mathcadの最大の特徴を大ざっぱに説明すれば、「ホワイトボードに書くように、数式が表示できること(WYSIWYG表示)」。
例えば、Excelで計算しようとすると非常にややこしくなってしまう式が、Mathcadだとすっきりと書ける。
まず、ごく基本的な機能を説明する。入力する要素は、数式とテキストに大別できる。「マス」(数式領域)は、文字通り、数式を入力するエリアとなる。数式を認識させない文字列は、ページ幅が入力エリア幅となる「テキストブロック」、もしくは入力エリア幅が調整可能な「テキストボックス」で入力する。難しいことはない。
Mathcadの主役ともいえるマスの機能の使い方も簡単だ。
例えば、マスを使って「1+1」と書けば、「=」を入れた瞬間に「2」と自動的に書かれる。
数に単位を付ければ、単位も認識される(必ず付けなくてもよい)。
単位をごっちゃに書いても、勝手に計算してくれる。
inchとmmなど、単位系を混ぜて書いても大丈夫だ。ただし「長さ」と「時間」のように単位の要素が異なると、当然ながら計算できない。
SI単位の「N」がスタンダードになっているものの、いまだに「kg/f」で計算する人もいる応力計算の際にも便利そうだ。ちなみに「mm2」のような乗数は「^2」と入力する。
文字に対して数字や式を定義することができる。その場合は、以下のように「:=」(「コロン」と「イコール」)で定義をする。
一度定義した文字は、定義を記した下のエリアの計算で利用することが可能だ。
ちなみに、定義を記した上に式を持ってくると、計算不能になる。
定義する対象は、日本語の言葉も可能だ。一度定義しておけば、言葉を数式に入れて計算することができる。
もちろん「<」「>」「≦」なども定義に利用できる。
マスの基本的な操作は、以上。後は、以下のようなさまざま演算子や記号を駆使して計算するだけだ。
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