タイ国家警察経済犯罪部(ECD)によれば、2012年に強制捜査を行った国内の企業は182社、そのうち違法ソフトウェアが発見されたPCは4573台で、その価額は約1400万ドルに上ったといいます。日系の自動車向け部品サプライヤーは、違法ソフトウェアを使用する最大のグループを構成しており、損害額は約600万ドルです。次いでソフトウェア関連業、建設業、非金属産業における製造業と続きます。そのため、日本企業への脅威は現実のものであり、対策を取る必要があります。
米国に輸出を行う日本の製造業者は「サプライヤーが供給する製品の製造過程において違法ソフトウェアを使用していないことを確認した」と、自社の顧客に保証する必要が生じるでしょう(関連記事:米国不正競争防止法で輸入禁止措置も――サプライヤの無許諾知財使用をチェックしていますか?)。最終顧客にも権利侵害の法的責任が及ぶ可能性があるというシンプルな理由から、今後ますます米国の顧客が求める絶対的な条件となっていきます。このような保証は、多くの市場への輸出において標準的な要求事項となっている有害物質や労働慣行に関する認証と同様、監査によって行うことができます。
では、日本企業にとってどのような具体的な取り組みが行えるでしょうか。基本的なことですが、われわれは以下のような取り組みを地道に進めていくことが必要だと考えています。
以上のような取り組みを通じて、まずは自社のサプライチェーン全体のソフトウェアライセンスを把握し、次にサプライヤーも含めて連携を強化し、これらを問題ないように運営していく必要があるでしょう。
Michael Mudd(マイケル・マッド)
Open Computing Allianceアジア太平洋地域 事務局長、アジア・ポリシー・パートナーズ LLCシニアパートナー
アジア太平洋地域において35年間の職務経験を持ち、現在はオープン・コンピューティング・アライアンス(OCA : Open Computing Alliance)アジア太平洋地域代表を務める他、貿易関連のIT課題を専門とする香港のコンサルティング会社アジア・ポリシー・パートナーズLLCのシニアパートナーでもある。OCAは、情報通信技術、分散およびネットワークコンピューティングがもたらす新たな機会を通して、環境に配慮しつつ、生産性、成長、雇用を促進することを目指している。また、これまでにAPEC 電気通信・情報作業部会およびAPEC 中小企業作業部会の行事においてICT専門家の代表を務めた他、現在、ハノイ米国商工会議所の情報通信・知的財産・電気通信委員会委員長も務めている。
独立系中堅・中小企業の海外展開が進んでいます。「海外生産」コーナーでは、東アジア、ASEANを中心に、市場動向や商習慣、政治、風習などを、現地レポートで紹介しています。併せてご覧ください。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.