ドイツの計測器メーカーHBMは、電気自動車やハイブリッド車に搭載されている電動システムの、二次電池とインバータの電圧/電流、モーターのトルク/回転数について、全てのデータを同期して取得することが可能な計測パッケージ「eDrive」を発表した。
ドイツの計測器メーカーHBMは、電気自動車やハイブリッド車に搭載されている電動システムの、二次電池とインバータの電圧/電流、モーターのトルク/回転数について、全てのデータを同期して取得することが可能な計測パッケージ「eDrive」を発表した。
電動システムの効率を高めるには、エンジンと同様に損失を低減しなければならない。この損失は、消費電力(電圧×電流)と仕事量(トルク×回転数)の差から求められる。これまで、電動システムの効率は、一定速度で走行する「定常走行状態」から求められることが多かったが、一般ユーザーの実際の走行条件とは異なる。どのような走行条件でも効率が高い電動システムを開発するには、電圧/電流データとモーターのトルク/回転数、全てのデータを同期して収集できる計測システムが必要になる。
eDriveは2つのコンポーネントから構成される。1つは、自動車業界で既に高い評価を得ているトルクセンサー「T12シリーズ」である。分解能は19ビットで、ヒステリシスを含む非直線性は0.01%。不確かさが80ppm(1ppmは0.0001%)と小さい、トルク校正基準器によって計測の信頼性を向上している。1995年から日本でHBMの事業を展開するスペクトリスHBM事業部は、3000台以上のHBM製トルクセンサーを納入。T12シリーズはその最新製品に位置付けられる。
もう1つのコンポーネントは、高分解能データロガー「GenesisHighspeed」だ。計測対象に最適なモジュールを使って自由な構成でシステムを構築できる。モジュールには、サンプル速度が最高2Mサンプル/秒、分解能が18ビット、±1000V入力対応品や、サンプル速度が最高100Mサンプル/秒、分解能が14ビット、±100V入力対応品などがある。取得したデジタル信号は、光イーサネットを使って制御用PCに高速でストリーミングできる。また、高電圧/大電流を扱う計測エリアと制御室の間を完全に絶縁できる絶縁プローブを採用し、作業員の安全性も確保している。さらに、容量が10Gバイト程度のデータを約10秒で表示する、HBMが自社開発したソフトウェアも備える。
これら2つの計測器を組み合わせることで、二次電池から出力される直流の電圧/電流データ、インバータから出力される交流の電圧/電流データ、モーターのトルク/回転数を、1個のデータロガーで同期をとって収集し、制御用PCで表示/分析できるようになる。また、電力計測データを、ハーフサイクルごとにパワー演算し、表示/分析することも可能だ。
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