大日本スクリーン製造は、3D細胞培養プレートで培養されたがん細胞の増殖や形態変化を、検査試薬なしで高速に計測・分析できる3D細胞スキャナーを開発・販売し、ライフサイエンス分野への参入を表明した。
大日本スクリーン製造は2013年8月7日、3D細胞培養プレートで培養されたがん細胞の増殖や形態変化を、検査試薬なしで高速に計測・分析できる3D細胞スキャナー「Cell3iMager(スリー・ディー・セル・イメージャー)」を開発・販売し、ライフサイエンス分野への参入を表明した。同製品の販売価格は700万円(税別)である。
近年、ライフサイエンス分野の医療・創薬技術は、研究機器や医療機器の進歩に伴って、著しい発展を遂げている。中でも、先端分野の1つであるがんの創薬研究においては、実際の生体環境に近いとされる3D細胞培養による研究が加速しており、2011年に0.6億ドルだった市場が、2016年には約4.5倍の2.74億ドル規模に急成長すると予測されている。しかしながら、現在の3D細胞培養研究における検査手法の多くは、がん細胞を培養した後、色素などの検査試薬を加えて観察する従来手法を踏襲しているため、試験に手間が掛かることや、同一細胞での経過観察が行えないことなどが課題となっており、それらを総合的に解決する実用的な検査装置が求められていた。
こうした現状を受け、同社は、独自の画像処理技術を応用し、3D細胞培養プレートで培養されたがん細胞の増殖や形態の経時変化を、高速に計測・分析することが可能な同製品を開発。従来用いられてきた検査試薬が不要となり、がん細胞を死滅させることなく、同一細胞を使って試験薬の効果を継続的に観察できるという。
開発に当たり、同社は、がんの世界的研究機関である米国テキサス州立大学 MDアンダーソンがんセンター(以下、MDACC)で3D細胞培養によるがん創薬を研究するGeoffrey Bartholomeusz博士や、抗がん剤創薬を専門とする長浜バイオ大学の水上民夫教授の協力を得て、約2年間にわたり同製品の有用性を検証。このほど、MDACCの要求仕様を満たすことが確認され、同製品の販売を2013年7月に開始し、ライフサイエンス分野への参入を果たした。同社は、今後も独自の画像処理技術を活用したライフサイエンス分野向けの装置開発を進めていくという。
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