ウインドリバーは、2013年6月に発表したオープンソースのリアルタイムカーネル仮想化技術「Wind River Open Virtualization Profile(OVP)」の提供を8月1日より開始する。
ウインドリバーは2013年7月31日、東京都内で記者説明会を開催し、同年6月25日(米国時間)にアナウンスしたオープンソースのリアルタイムカーネル仮想化技術「Wind River Open Virtualization Profile(以下、OVP)」の提供を、同年8月1日より開始すると発表した。
OVPは、次世代の通信機器やNFV(Network Functions Virtualization)、クラウドの進展を図るものとして、オープンソースのカーネルベース仮想化技術「KVM(Kernel-based Virtual Machine)」の最適化により開発されたリアルタイム仮想化ソフトウェアである。
同社のYocto Projectベースの商用組み込みLinuxディストリビューション「Wind River Linux」向けのアドオンソフトウェアプロファイルとして提供。ネットワーク接続機器の急増を背景に、新たな通信サービスの迅速な立ち上げと同時に、データ通信量の増加、ネットワークの拡張や運用コストの削減、稼働・電力消費の効率化などの課題を抱える通信業界をメインターゲットとする。
通信事業者は先の課題により、ネットワーク機能をソフトウェアで制御・仮想化する「SDN(Software Defined Network)」やNFVといった技術トレンドへの投資を進めつつあるという。OVPはこうしたニーズを狙うもので、従来使われている物理的な専用機器・装置「MME(Mobility Management Entity)」「PDN(Packet Data Network) Gateway」「Serving Gateway」などの機能を、市販の汎用サーバの仮想化環境上(つまり、1つのシステム)で実現するものである。
一般的に、専用機器・装置で実現してきた機能を、仮想化技術で実現するとなると、そのパフォーマンスが課題となる。これに対し、同社は「従来の専用機器・装置の環境では、割り込み遅延時間が2〜10μs程度。これを一般的なKVMで実現すると、平均14.7μs、最悪値で738μsとなった。これではネットワーク機器によっては期待通りの動きを実現できない。その点、OVPであれば、平均3.7μs、ワーストケースでも20μs程度で処理される」とし、OVPが従来の専用機器・装置と同等レベルのパフォーマンス(低い遅延時間)を実現できる点をアピールする。
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