富士機械製造は、高い生産性と拡張性を備えたモジュール型高速多機能装着機「NXT III」を中心とした製造ラインの自動化/省人化に対応するシステムや、1台でさまざまな生産形態に適合できるオールインワンタイプの複合装着機「AIMEX IIs/II」などを展示した。
NXT IIIは、新開発の高速フィーダと、H24ヘッドや画像処理システムなどを組み合わせることで最大3万5000cph(1時間当たりに実装できる部品数)のスループットを実現している。このため、「製造ライン全体のスループットを従来システムに比べて30%以上高めることができる」(説明員)と主張する。また、03015や0402サイズの部品をはじめ、吸着ヘッドの交換によって、メモリモジュールなど中型サイズの部品や大型異形部品への対応も可能だ。
この他、部品の供給切れを防止する供給機能や、チップ部品が正しく装着されているかどうかを検査するIPS機能などを備えている。装着機1台で対応できる基板サイズもシングルコンベアの場合、48×48mmから534×610mmと広範だ。さらに「生産規模に合わせてモジュール単位での拡張が行え、最小の設備投資で済む」(説明員)という。
日立ハイテクノロジーズと日立ハイテクインスツルメンツは、電子部品実装のニーズに柔軟に応えるモジュラーマウンタ「SIGMA-F8」やデュアルレーン印刷機「MDS-510」、基板実装ライン支援システム「VCIM-SMT」などのデモ展示を行った。また、会場では複数のモジュラーマウンタを組み合わせ、車載用基板ライン、携帯端末基板ラインなど、用途別にシステム構成事例の提案も行った。
同社ブースの来場者が最も注目していた技術の1つが、マウンタに部品を自動でローディングするためのテープフィーダ「Super Loading(SL)フィーダ」である。これまで、供給テープを用いて部品を補給する場合、作業者は接合用テープを使って補給テープと使用中のテープをつなぎ、改めてマウンタにセットする作業が必要であった。このため、作業者は常に補給時期を確認したり、場合によっては装置を止めて作業を行ったりする必要があった。
同社のSLフィーダは、所定位置に補給テープをセットするだけで、マウンタに自動ローディングできる。しかも、交換用の補給テープはいつでもマウンタにセットしておくことができる。このため、作業の効率が高まり、部品切れによるライン停止などもない。このSLフィーダは同社の「SIGMSシリーズ」や「GXHシリーズ」に搭載することができる。
「補給テープを接合するために製造ラインでは複数の作業者が監視している。作業者によって作業内容にばらつきがあり、部品の吸着ミスなどにつながる場合もあった。SLフィーダを用いることで接合作業の品質が向上し、省人化にもつながる」(説明員)と話す。
メンター・グラフィックス・ジャパンは、プリント基板実装の主な工程を一元的に管理するソフトウェア「Valor MSS(Manufacturing System Solution)」をデモ展示した。部品の実装ラインに設置された装置群の稼働状況や部材の管理などを行うためのシステムは、実装機メーカーなどからも提供されている。しかし、どちらかと言えば自社の装置を対象としたシステムである場合が多い。
これに対してValor MSSは、プリント基板の設計や製造向けに作成されたデータフォーマット「ODB++」に対応している。このフォーマットに準拠していれば、さまざまなベンダーの装置を接続し、設計工程や実装工程、検査工程など、各工程間のデータ交換などもスムーズに行うことができる。
Valor MSSには、データを一元管理するモジュールや製造運用管理のための決定支援を行うモジュール、生産性をリアルタイム管理するモジュール、部材の段取りやフィーダの位置などを検証するモジュールなど、あらゆる実装工程に対応する多くのモジュールをそろえている。これらのモジュールは必要な機能だけ個別にインストールすることもできる。同社では今後、個別で運用していたモジュールのデータベースも、全てValor MSSで一元管理できるようにしていく考えだ。
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