新動画圧縮方式「HEVC」の導入開発を促進、ドコモが復号ソフトをライセンス動画サービスの向上へ

NTTドコモは、動画圧縮規格の1つ「HEVC(High Effiiciency Video Coding)」で圧縮された動画を、スマートフォン/タブレット端末などのモバイル機器やPCで復号するソフトウェアを国内外の事業者向けに提供すると発表した。

» 2013年02月06日 15時26分 公開
[八木沢篤,MONOist]
HEVC

 NTTドコモは2012年2月4日、動画圧縮規格の1つ「HEVC(High Effiiciency Video Coding)」で圧縮された動画を、スマートフォン/タブレット端末などのモバイル機器やPCで復号するソフトウェアを国内外の事業者向けに提供すると発表した。スマートフォンでのフルHD(1920×1080ピクセル、30fps)再生に対応したHEVC復号ソフトウェアの提供は、「世界初」(同社)だという。3月中の提供を予定する。

 HEVCは、映像機器やモバイル機器などで現在幅広く利用されているMPEG-4 AVC(Advanced Video Coding)方式の次世代規格。MPEG-4 AVC方式と比較して、同品質の動画を約半分のデータ量に圧縮できる。通信を利用して動画を視聴する場合、これまでと同じ通信速度でより高画質に視聴できたり、同じ画質でもダウンロード時間が約半分になったりといったメリットがある。

解像度 MPEG-4 AVC HEVC
WVGA(800×480 30fps) 1600kbps 800kbps
フルHD(1920×1080 30fps) 3200kbps 1500kbps
表1 HEVCの動画圧縮効率の比較(高解像度動画の再生に必要な通信速度の目安)

 提供を開始する復号ソフトウェアは、HEVCで圧縮された動画をモバイル機器やPCといったさまざまな機器の汎用動画プレーヤーで再生できるよう復号するもの。高効率でHEVC動画を復号できるので、処理速度が追い付かないために発生する再生遅延やコマ落ちがなく、滑らかな「実時間再生」を実現する。また、汎用PCではフルHDの4倍に相当する4K(3840×2160ピクセル、60fps)動画の「実時間再生」に対応する。

解像度 スマートフォン/タブレット端末 汎用PC
WVGA(800×480 30fps)
フルHD(1920×1080 30fps)
4K(3840×2160 60fps) ×
表2 対応解像度

 同社は復号ソフトウェアを提供することで、さまざまな企業によるHEVC方式の導入開発を促進し、スマートフォンやタブレット端末向けの動画サービスの高画質化、通信ネットワーク付加の軽減を目指す。また今後、同社が提供する動画サービス(dビデオやdアニメストアなど)にHEVCを取り入れる検討を進めていくという。

 なお、2月14日から開催される「NTT R&Dフォーラム」および同月25日からスペインのバルセロナで開催される「Mobile World Congress 2013」のドコモブースで、HEVCの実演デモが行われる予定だ。

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