実装分野の最新技術を分かりやすく紹介する前田真一氏の連載「最新実装技術あれこれ塾」。第8回は、スマートフォンをはじめ、モバイル機器の高度化によって需要が拡大しているモバイルDDRメモリについて説明する。
本連載は「エレクトロニクス実装技術」2011年11月号の記事を転載しています。
現在、半導体メモリには色々な種類があり、目的に応じて使い分けられています。
例えば、電気を切ってもメモリの内容を記憶しておけるFlash Memoryは、USB FlashやUSBメモリとして広く使われており(図1)、最近はハードディスクに変わり、SDD(Silicon Disk Drive)としても使われています(図2)。
一度書き込むとメモリの内容が変更できないROM(Read Only Memory)は誤って内容を変更しては困るプログラムや情報を格納するのに使われています。
電気を切るとメモリの内容は失われるものの、回路が簡単なため、安価で大容量なメモリとしてDRAM(Dynamic Random Access Memory)がサーバからPCまで、コンピュータを始め、デジタル家電、PHSなど多くの電子機器で大量に使われています(図3)。
一般にDDRメモリと呼ばれるDRAMのデータ転送速度を高速化したDDR SDRAM(Double-Data-Rate Synchronous Dynamic Random Access Memory)が広く使われています。
このDDRメモリは多くの国の多くの機器で使われるため、JEDECと呼ばれる機関で、規格を世界的に標準化しています。現在、コンピュータやデジタル家電で広く使われる規格としてDDR SDRAM(DDR1)、DDR2、DDR3と呼ばれる規格が制定されており、来年には新しいDDR4規格を発表しようとしています。
JEDECでは、このコンピュータやデジタル家電を主な用途としたDDR規格のほかにDDR SDRAMの規格として、LPDDR SDRAM規格とLPDDR2規格と呼ばれる規格も制定しています。
このLPDDRはLow Power Double Data Rateの略で、文字通り『低消費電力DDR』です。これはデジカメや携帯音楽機器、携帯電話など電池で長時間動作する必要がある小型携帯機器に使うために消費電力を低減させ、小型にできることを最優先したメモリのための規格です。携帯機器用DDRメモリなので、モバイルDDRなどとも呼ばれます。
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