いまやさまざまな機種が存在する3次元プリンタ。その装置メーカーの1つであるオブジェット社によるユニークな造形サンプルをまとめて紹介する。記事最後では、3次元プリンタによるランニングシューズ(靴底)のソール作成過程を紹介する。
製造業系の展示会でひときわ目を引く3次元プリンタの造形サンプル。各社が提供する3次元プリンタのクラスやスペックが幅広くなってきていることもあり、そのバリエーションは非常に豊富だ。採用する業界もいまや多岐にわたる。
ローエンドからハイエンドまで幅広い3次元プリンタを扱うオブジェット社のサンプルは、ユニークな物が目立つ。同社の新機種の記者発表の際も、記者向けのプレスキットとして非常に凝った造形サンプルが配布される。
今回は、3次元プリンタによる面白い造形サンプルやその造形技術について紹介する。併せて、オブジェット本社のクリエイティブ/コンテンツマネージャ サム・グリーン(Sam Green)氏が、造形サンプルのプレスキット企画について語った。記事の最後では、3次元プリンタによるランニングシューズのソール製作の過程を紹介する。
まず記者が過去の取材で気になった、Objetプリンタの造形サンプルを取り上げる。材料を複合して造形できるということもあり、造形物のアイデアもとにかく豊富だ。
以下の造形モデルは、3次元プリンタの展示ではよく見られるタイプの、複数のギアがかみ合ったオブジェだ。
それぞれのギアはきちんと動く。しかも、これらが組み合った状態のものが造形可能なのが、3次元プリンタによる造形の大きな特徴だ。3次元プリンタをよく知る人にとってはもはや常識だが、初めて接する人が非常に驚く点でもある。
3次元プリンタのワークサイズは限られていて、自動車のダッシュボードなど大型の金型で製作するような部品は造形できないが、パーツを分割することで以下のように仕上げることが可能だ。パーツの継ぎ目は裏から確認しなければ分からない。
最近の3次元プリンタ造形物は非常に精巧だ。大型展示会のオブジェット代理店ブースではすっかりおなじみとなった人体模型サンプルもその1つだ。
人体の模型はその精巧さ故に、展示会来場者の注目度が非常に高い。こちらを製作したレキシーは、CTやMRIの画像を基に、術前計画や患者への説明に使用する実物大の臓器や骨のモデルを3次元プリントするサービスなどを提供している。
日本国内において、オブジェット・ジャパンとして医療分野の本格的な開拓をしていくのはこれからということだ。
左写真はObjetユーザーである設計会社のスワニー(長野県伊那市)が、MONOistの記事企画のために製作したもの。同社代表取締役 橋爪良博氏の顔を3次元スキャナで取り込んだデータと、頭蓋骨の3次元モデルデータを組み合わせて製作したジョークグッズだ。顔の形状を透過材料(透明な材料)で造形しておき、内部がLEDで照らされると、頭蓋(がい)骨が浮き上がる。上記のモデルにインスパイヤされたのかどうかは、定かではない……。
次も、上記と似たような構造で製作された造形サンプルだ。黒いカエルが、透過材料でできた箱に収まっている。
カエルの作りは非常にリアルで、まるで標本のようだ。複合材料と透過材料が適用できる装置の特徴をアピールしている。
こちらは3次元プリンタのモデル(ABSライク樹脂:ABSの特性に近づけた造形材料)で、製品(ペットボトル)の試作形状だけではなく、ブロー成型の試作金型まで製作したという事例だ。
型試作をする過程で3次元プリンタを利用すれば、型修正の検討も容易かつ素早く対応できる。こちらにより、コスト・期間ともに短縮できたということだ。
下記は、ABSライクの部品特性をアピールしようと作られたハサミだ。もちろん、こちらも組み立った状態で造形される。
紙程度なら本当に切れてしまう。これを応用してペーパーナイフやビューラーなども作れそうだ。
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