生産工程の解析や安定した状態にあるかどうかをチェックするために役立つ「QC七つ道具」。そのうちの1つ、「管理図」は日々の品質のばらつきが異常な原因によるものなのか、そうでないかを判断するために役立ちます。今回は、管理図の一種「C管理図」を取り上げます。
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このIE(Industrial Engineering)の連載は、経営管理の手法を紹介しています。前々回と前回は「管理図」*1)について順に解説しました。今回は、「C管理図」を取り上げて、作成手順から利用方法までを紹介します。
*1) 管理図は工程異常を検出するための「QC七つ道具」の1つであり、生産工程が安定した状態にあるかどうかをチェックするために役立つ。日々の品質のばらつきが異常な原因によるものなのか、そうでないかを管理図のグラフから簡単に読み取れるように工夫されている。前々回では各種の管理図の用途を紹介し、前回では、X-R管理図とP管理図を解説した。
C管理図は、あらかじめ定められた一定単位中に現れる欠点(要求に合わない個々の欠陥)数で、品質を管理していく場合に用います*2)。欠点数をそのまま図にプロットし、検査した個数(試料の大きさ)nが一定の場合に便利な管理図です。まず、C管理図の管理限界の求め方について順を追って説明をしていきます。
*2) 前回で説明した通り、C管理図は欠点を見つける範囲が一定(長さ、面積、量)の場合だけに使う。例えば、同じ機種のプリント基板上にある修正箇所数の管理などに適している。
なお、試料の大きさが一定でない場合には、単位当たりの欠点数(u)を用いた「u管理図」によって管理します。u管理図の中心線(CL)や上方管理限界線(UCL)、下方管理限界線(LCL)の計算式は、C管理図の場合とは異なりますが、計算方法は紙幅の関係で割愛します。
一定の大きさのサンプルを20〜25組採り(組の数を「k」と表す)、各組中の欠点数(C)を調べます。サンプルの大きさは、あらかじめ工程の欠点数を推測して、平均1〜5個の欠点が含まれるようにします。
下に挙げた「C管理図データ(事例データ)」(表1)は、成形品の検査において発見された、充てん不足不良の数を記録したものです。このデータを使ってC管理図を作成します。
次に、欠点数の平均を求めます。
欠点数Cの平均=ΣC ÷ k(組の数)
=(3+4+4+…+3)÷ 20
= 85 ÷ 20
= 4.25
管理図に書き入れる管理線として、CLと、UCL、LCL*3)を次の公式により計算します。LCLは、計算の結果負になることがありますが、この場合にはLCLは考えません。
*3) 平均値(中心線)から標準偏差σの3倍の位置を上方管理限界線、下方管理限界線として利用する。
CL=欠点数Cの平均値
= 4.25 ……(2)の算出結果より
UCL= 欠点数Cの平均値+3√CL
= 4.25+3√4.25
= 10.43
LCL=欠点数Cの平均値−3√CL
= 4.25−3√4.25 ……負の値となる
C管理図用紙を用意して、欠点数Cを時間軸(日付順、時刻順など)順にプロットし、各点を実線で結んでいきます。次に、手順(3)で計算した管理線を記入します。CLは実線で、UCLとLCLは破線で横に引いていきます(図1)。
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