2012年6月に開催した第23回 設計・製造ソリューション展で見た業界トレンドをレポートする。今回は製造業界のニーズを取り込んだ展示に注目した。
前回に続き、第23回 設計・製造ソリューション展(DMS 2012)で注目した展示を見ていく。今回はその中でも特に、設計・開発プロジェクトにおけるグローバル化の進展、モバイル端末を活用したアイデアなどを紹介する。
海外拠点や協力企業との情報交換は、各社とも悩ましい問題と認識しているようだ。設計・製造にかかわるデータは、もっとも重要な企業の資産といえる。研究開発費を投じて育てた技術が、やすやすと他に漏えいするといったことはあってはならない問題だ。
海外市場への展開を加速させつつある日本の製造業の一部では、販売拠点だけでなく、現地化を目的に続々と海外に開発拠点を置きつつある。現地サプライヤの採用も増えてきている。当然、図面や技術文書の交換の際も、従来とは異なる取引先を相手にしなくてはならない。技術情報の管理は、海外市場への展開を進める企業がもっとも懸念している問題の1つだろう。
写真はNECブースに出展されていた機密データ配布向けプラットフォーム「PROCENTER/C」のパネルだ。
「以前から提供している製品だが、海外とのデータ受け渡しは、いまだに、CD-ROMやDVDなどのメディアに頼っている企業が多い。場合によっては、知財情報だからと担当者が手持ちで出張してデータを渡すこともある。セキュアで、十分な帯域があるネットワークがあれば、こうしたコストは不要」(説明員)
数年前から展開している製品だが、最近は海外企業との取引などをきっかけに、製品に関心を持つ企業が増えているという。
同製品の機能イメージは下図の通り。
日立東日本ソリューションズでは事前情報にあった通り、「SynVIZ/PJ」を展示していた(関連記事)。2011年の展示以降、注目が集まっているという。
「今回の展示で、われわれがもっとも期待しているのがこの製品。分散開発環境では、管理者や関係者全員が素早くプロジェクトのステータスを確認するのが難しく、状況確認のために出張したり会議するというムダが発生している」(説明員)という。同製品はこのムダを解消し、可視化するためのツールだ。
2011年の同社ブースで最も注目が集まったという。多くの製造系企業で、遠隔地の拠点や開発パートナーとの情報連携を進めていることがうかがえる。
2012年前半は、大手自動車メーカーにおける開発・生産部門連係強化のニュースが多数見受けられた。例えばホンダでは、開発部門の人員を生産拠点に派遣し、より緊密な設計と生産のコミュニケーションを図る体制を敷くと発表している。
仮想ライン検証ツールは毎年一定数のブースで展示がある。生産性を最大限に高めるためには、生産工程を最大限に効率化し、「よどみ」なくモノを流す必要がある。これがカイゼンの基本だが、巨大な工場敷地の中で、実際のラインを構築する前に「よどみ」を確認するのは至難の業だろう。かといって、ラインを設計した後では、大きな修正は難しい。仮想工程検証ツールは、工程設計前の検討や、ライン稼働後の生産性向上を検討する際に有効とされる。
ここでは、工程設計関連の出展製品2つを見てみる。
富士通が出展していた「GP4」は、同社が提供する工程設計ツール。CADベンダーが提供する工程設計ツールと比較して、簡易な操作感である点を売りにしている。
CECが展示していたのが「VR+R」だ。
こちらは、PLCなどとも連携できる。たけびし製デバイスエクスプローラOPCサーバ、ロボティクスウェア製FA-Serverに対応するPLCに対応する。ファナック、安川電機、三菱電機など主要なFAロボットにも対応している。実績収集の機能も兼ねた使い方が可能だという。
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