@IT MONOistでは、2009年10月にいち早くS&OPを取り上げ、「世界のバリューチェーンから日本がはじかれる!? S&OPに対応すべきこれだけの理由」に続いて、「S&OPの方法論」としてS&OPを概説した連載記事を6回にわたり紹介してきました。
2011年ころから、日本でもようやくS&OPが注目されるようになってきました。これは、図3に示すS&OPのサブプロセスに影響を与える変動要因に対して起きている各種の事象にほかなりません。
要因1:変動するバリューチェーン/サプライチェーン 世界の工場―中国における賃金の高騰、そして何よりも2011年3月に発生した東日本大震災、そして2011年10月にタイを襲った大規模洪水が原因で、部品の供給が不足したり、工場が被災し操業停止に追い込まれるなどサプライチェーンが寸断したことが挙げられます。また2012年に入って中東情勢の緊迫化で原油の供給ショックが取りざたされています。
これらに対応すべく、中長期的には、材料調達先の分散、生産設備の西日本や海外への移転の動きが広まっており、またこのような供給能力の変化に俊敏に対応するグローバルな需給マネジメントとしてS&OPに注目が集まっていると考えられます。
要因2:激変するマーケット 日本のグローバル製造業にとって重要なマーケットである欧州の政府債務危機や長引く円高など、製造業を取り巻く経営環境の厳しさが増す中にあって、世界規模のマーケットの変化にアジャイルに対応できる需給マネジメントのプロセスとしてS&OPに注目が集まっていると考えられます。
要因3:S&OPプロセスを支援するITの普及 これらに加えて、EPM(企業業績マネジメント)やBI(ビジネスインテリジェンス)など、S&OPプロセスを支援する企業アプリケーション・システムの充実が挙げられます。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.