電力を供給する単なる通路だったコンセント。ソニーはコンセントに通信機能を持たせることで、インテリジェントなコンセントを開発した。危険防止や課金、スマートグリッド(HEMS)支援などさまざまな使い方が広がる。
電気製品を動かすときにはほぼ必ずコンセントのお世話になる。ところが、現在のコンセントにはインテリジェントな機能が何も備わっていない。ここに技術革新の芽があると考えたソニーは、技術開発本部で「認証型コンセント」を開発、2012年2月14日に発表した*1)。
*1) 特定の機能を備えたコンセントは既に存在する。例えば、消費電力を計測できる電源タップを各社が製品化している。しかし、このようなコンセントは機器との情報のやりとりには対応していない。
コンセントに電気製品のプラグを差し込むと、機器と通信して認証などの情報のやりとりができるようになる。定期券などに採用されているソニーの非接触ICカード技術(NFC/FeliCa)を応用した(図1)。
現在のコンセントの問題点は幾つかある。これらの問題を一言で言えば、「刺さったプラグに電流を供給してよいのかどうか、コンセント側には判断できない」ということだ。
外出先で家電製品を使ったり、電気自動車(EV)に充電しようとすると、現在の仕組みではうまくいかないことがある。例えばコンビニエンスストアのコンセントを使って、許可なくケータイを充電するのは違法だ。許可を得たとしても、課金の仕組みがなく、柔軟に制限を掛けることもできない。
ソニーの認証型コンセントがあれば、特定の人だけが使えるコンセントや料金制のコンセントを実現でき、機器ごとに電力量や利用履歴などを記録できるようになる(図2、図3、図4)。「タブレットなどを使ってクラウドに上げたデータを閲覧し、消費電力の見える化に役立てるような使い方も考えられる」(ソニー)。
ソニーは同技術のメリットを多数挙げている。例えば子どもが異物を差し込んでも安全なコンセントだ。機器を認証できないときは通電しないコンセントを簡単に実現できる。
電力需要が逼迫(ひっぱく)したときに、緊急性が高い医療機器や、冷蔵庫には通電し、その他の機器はオフにすることも可能だ。
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