こちらも搭載バッテリーによって、日本EVクラブが定めた以下2つのクラスに分けられる。
ヨタハチが! マイティボーイが! シルビアが! ――そこでは、かつての名車たちが、第二の人生、もとい車生を繰り広げていた。その走行はゆったりとしており、何となくノスタルジックだ。
いまはすっかり見られなくなった、ボンネットを開けてメンテナンスする風景まで見られた。昔は、炎天下の日などに「車がエンコしちゃったよ!」なんてことをよく言ったもの。特に昭和に青春の日々を送った人たちにとっては、普段はすっかり忘れ去っている記憶をくすぐる瞬間だろう。
全体的に走行がのんびり(まちまちだが、遅い車両では時速30kmぐらいで走っていた)しているのは、交換や充電が不可であるバッテリーを効率よく消費しながら59分間コースを走り切るため。マラソンと同様に、最初から飛ばし過ぎてしまうと、後から損をしてしまう羽目になる。
そして、なぜ「59分」という中途半端な時間なのかといえば、ベートーベン交響曲第3番「英雄」(演奏時間59分)をBGMに合わせて走行し、その曲の終了と合わせてレースが終了するため。『英雄』を選曲したのには、「さまざまな苦難にチャレンジし、凱旋する」のが英雄であり、「日本の皆、東北の皆、会場にいる皆が、英雄である」「EVの技術を震災復興の力へ」という思いからだという。BGMが流せるのも、静かなEVの走行イベントならではだ。
今回の日本EVフェスティバルで、工学院大学の雑賀高教授と長澤拓さんに会うことができた。実は、長澤さんは学生フォーミュラとEVの活動を兼ねるばかりか、双方のチームリーダーまで務めている。
今回、工学院大学チームのEVカートについては、学生フォーミュラのようにカウルやシャシーは一から設計せず、エンジンカートのキットを購入したそう。カウルの有無はレギュレーションに含まれておらず、なくても参加が可能だという。以前はカウルを一から製作したこともあったが、そこに労力を掛けても成果に直結しないと実感し、以後は市販品をそのまま用いることにしているということだ。
エンジンからバッテリーに乗せ換えるので、当然、モーターとエンジンのトルク特性の違いも考慮する。改造の際に発生する新規部品の一部には、学生自身が切削加工で製作したものもある。
3次元CADは、安全な配線の取り回しを検討するのに活躍したという。配線が露出していると、ドライバーは感電してしまう恐れがある。
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