太陽電池の弱点は発電した電力を蓄えられないこと。同社は、蓄電に向くリチウムイオンキャパシタやPAS(ポリアセン)キャパシタを製品化している。どちらも薄型であり、機器とキャパシタを組み合わせた商品もある(図5)。今後はDVD型太陽電池とキャパシタを組み合わせた使い方を実現したいという。
太陽誘電のDVD型太陽電池は、色素増感太陽電池の一種だ。色素増感太陽電池の発電原理は、Si太陽電池とは大きく異なる。Si太陽電池は、半導体のpn接合による内部電界を利用する。Si原子が光により励起し、電子と正孔が生まれ、内部電界を使って取り出すことで電池として機能する。
一方、色素増感太陽電池は、図6のような仕組みで発電する。
光が当たる限り(1)〜(5)を繰り返すことで電子が移動して、起電力が生まれる。
色素増感太陽電池の利点は、他の方式の太陽電池と大きく異なる。
欠点もある。まず電解液を使うことだ。Si太陽電池のように全固体化できていないため、「液漏れ」の可能性がある。次に、金属腐食性の強いI−(ヨウ化物イオン)とI3−(三ヨウ化物イオン)を使うため、封止材や電極の材料に制限がある。変換効率の向上もSi太陽電池に比べて遅れている。研究室規模の小セルであっても12%程度であり、Si太陽電池の約半分の値にとどまる。ただし、理論限界はSi太陽電池とほとんど変わらない。
「当社は電解質を利用するキャパシタを開発、製造しており、電解質の扱いには慣れている。光メディアに使う色素設計や積層セラミックス部品の積層、印刷技術と合わせて、色素増感太陽電池の製造に必要な技術は一通りそろっている」(染井氏)。展示したDVD型太陽電池の変換効率は4〜5%程度。「低温で製造する非焼成プロセスを採用したため、変換効率が低めに出ている」(染井氏)という。
非常に変換効率が高い高価な太陽電池、100円ショップで購入できるほど安価だが、変換効率が低い太陽電池、さまざまな太陽電池が生まれることで、活躍する場が広がっていく。
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