複数のビルの消費電力をまとめて管理するには、日本IBMの事例から学ぶスマートグリッド(3/3 ページ)

» 2011年07月11日 11時40分 公開
[畑陽一郎@IT MONOist]
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見える化だけなのか

 IBM Intelligent Building Managementは、複数の商業ビルや工場を所有する企業や、大学、病院、公共施設を管理しなければならない地方自治体などに向けたソリューションだ。

 このソリューションを導入することで、まずリアルタイムのエネルギー消費量や消費量の傾向を見える化できる。見える化にとどまらず、異常の検知と分析も可能だ。データから異常を検出する分析機能が備わっており、この分析機能を使えば、修理などのサービス要求や作業指示書の発行に進むことができる。

 例えば、空調設備管理を例に挙げよう。特定の空調機器の動作が通常時と違うなどの異常が発生したとする。管理者に対しアラートが自動通知されるため、管理者は設備更新に関する履歴データを画面で参照しながら、実際に故障が発生する前に、保守担当者に対して作業を指示できる。日本IBMによれば、定期的な保守管理ではなく、アラートに基づいた保守管理に移行できるため、設備の運用コストを削減し、ビル設備の効率を改善することができるという。

 IBM Intelligent Building Management V1.1は、IBMが目指す「Smarter Buildings」コンセプト(図8)の一部を実装した形だ。

 「Smarter Buildingsコンセプトでは、3種類の管理を実現しようとしている。エネルギー管理と施設運用管理、建物のスペース管理だ。例えば10フロアを9フロアに無理なく圧縮できれば、消費電力量以外に、維持コストも1割削減できる。エネルギー管理に示した二酸化炭素排出量管理や、スペース管理については今後の製品展開の中で機能を追加していく見込みだ」(日本IBMの磯部氏)。

ALT 図8 今後のソリューション展開方針 図中黄色で示した部分は、今回のIBM Intelligent Building Management V1.1に実装済みである。スペース管理とポートフォリオ管理は、米IBMが2011年3月に買収した米TRIRIGAのソフトウェアを利用して実現する予定だ。

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