電力だけではなく、さまざまな環境センサーからデータを取り込み、管理者層向けのダッシュボード表示を可能にするシステムも構築した。
二酸化炭素マネジメント用のシステムの例を図3に示す。他の用途に向けたシステムでも構成はほぼ同じである。システムは5つの階層からなり、BEMSを構成する下位の3階層は協業会社が設計製造し、日本IBMは上位の2階層、すなわち統合データベースを含む管理ダッシュボードと、マネジメント層向けの実装を担った。
統合管理ダッシュボードは、3つの要素からなる。階層別見える化(IBM Cognos Business Intelligence、図4)、リアルタイム分析と予測管理(IBM SPSS Statistics、図5)、統合資産管理(IBM Maximo Asset Management、図6)だ。
なお、米IBMでは2010年初頭から同年9月までにニューヨーク州アーモンクの施設とミネソタ州ロチェスターの施設で同様の取り組みを進めてきた。ロチェスターの事例では33棟のビルなどを統合してエネルギー管理している。
米IBMと日本IBMは、ビルの消費エネルギーと運用データをリアルタイムに収集、分析して、ビル全体のエネルギーとビル内で作動している設備の使用効率を最適化する試みを続けてきた。
2011年6月、これらの目的のために必要なソフトウェア群を仮想マシン化した*3)「IBM Intelligent Building Management V1.1」の出荷を日本IBMが開始した(図7)。価格は、建物の総面積10万m2当たり2808万円(税別)である。
*3)VMware ESXサーバのディプロイイメージであり、10個の仮想マシンからなる。各仮想ハードウェアの典型的な構成は、2コアのプロセッサ、4〜8Gバイトの主記憶、60〜100GバイトのHDDである。各仮想マシンでは、64ビット版(一部32ビット版)のSUSE Linux Enterprise 11上で、MaximoやNetcool、Cognosなどのソフトウェアが動作している。
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