―――まさに「見る目」が要求されるCAEの境界条件設定。いや、そもそも境界条件が分かると言うことは?
境界条件を付ければ、設計は終わっている。
(設計者などの依頼側は)境界条件が分からないことが多い。
(一同、笑い)
解析専任者は、基本的に、請け負った時点で答えが分かってないと……。設計者側としては、「その知恵を利用して、設計教育に使えないかな」。そういう部分の材料をいま探っているところではあるのですけど。
タグチメソッドや実験計画法って、(やる前に)結果が読めちゃうんですよ! 「こんなの全部埋める必要ねーじゃねぇか」って。
読める場合は使わなくていいんですよね。読めるなら、やる意味がない。
そうそう。読めたら終わりなんで。
読めないことについて、パラメータ振って、カット&トライするための方法としてタグチメソッドは使うんですよね。
ベテランの方が、ノウハウを社内とか人に伝えていれば、あんなものは多分、いらないんですよ! 彼らは経験でそれを知っているから。僕も振動対策したことあって、使われ方によって、こう、全然変わるじゃないですか、周波数が……。ベテランが来るとピュッと(振動が)一発で止まる。「ピュッ♪」「おー!」「ここか〜」って――そういうのを伝えていく道具として、シミュレーションがあってもいいのかな。
実験だと、やる人によってばらつくところを、CAEなら条件を決めれば誰がやっても同じようにできる。だから、そういう意味で、「パラメータを自由に振って、どうなるか」というのを見る。(シミュレーション)は、そういった実験道具だと僕は考えています。
実験の仮想化。
現実実験とCAEとが対立のラインで語られる、ということがしばしばあると思うんですけど、僕は違うと思っています。現物の実験もCAEも、結局「実験」。どっちも「シミュレーション」なんですよね。シミュレーションをコンピュータでやるか、現物でやるか。(CAEの)モデルの作り方や、計算スピードを考えながら、どちらか早い方でやる。シミュレーションするまでもないような……、どう見ても大丈夫だろうというのはやる必要はない。
大きな会社さんだと分かんないけど……、うちは一応、(シミュレーションを)設計者が自分でやってくれる。何でかっていうと、年寄りがあの“絵面”(コンター図など)を見ると、何も言わなくなるから。あの絵面に安心感があるからか。「“絵面”が欲しい」。(うちのシミュレーション普及の)黎明期はそういう仕事が多かった。やっぱり、そういう活動もいまの僕を支えているのかなって。
(一同、笑い)
それも、重要なことです。
(“絵面”を見せると)誰も何も言わない。まあ、こっちも出すからには、絶対的な自信で出してたけど。
説得力あるよね?
あるある。
コンター図で見せられて、「ココがダメ」「ココがこう」って言われたら……。
「そうだよな」っていうしかないもんねー。
手計算できないとき、「こんな複雑なことをやるんだから」、って説得力ある。
まあ、悪く言えば、「素人をだます方法」というか……。
(一同、笑い)
そういうこと(笑)。
それを言っては……(笑)。
――次回、これまでひたすら静かだったporcaro氏、ついに重たい口を開く!
(次回に続く)
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