エリカちゃんと付き合いたいからなのか、やけにさえているじゃねぇかい? あん? 感心、感心!
彼女には、負けたくないんです。男だから、いつかは尊敬されたいんです。
何だよぉ、そんなにほれちまったのかい? あん? 学歴を積んで、一生懸命に勉強することは、いいことだ。しかし、『実務の習得はどうするかを考えろ』と、後輩に伝えろ。いい年こいて、社会に出て何もできねぇのは、オメェら院卒と大卒の連中だけだ。
看護師、理容師、美容師、料理人、機械修理工、通訳、そして医者のタマゴたち、……確かに、どうにか役に立ちますよね。少なくとも、社会人としては、見習いからのスタートですよね。
そうだ! 最近は、大学に4年も6年も通って、図面も描けないどころか、読めもしねぇやつが堂々と入社してきやがる。わびの1つもねぇときたもんだ。おまけに英会話もダメー!
愚痴が長引きそうです。ここら辺で、本題に戻りましょう。樹脂と板金の融合に関する第2の事例です。
図2を見てください。
樹脂箱の外側に、L字型板金をねじで取り付けるとき、樹脂箱に直接ねじを切って固定する場合があります。このときのねじを「樹脂用セルフタップねじ」と呼び、その名のごとく、ねじ自身が、ねじ穴を切って固定されます。
このような固定の場合、樹脂箱の外側にはねじ用の穴(単純な穴)が必要となります。この穴は、スライダーと呼ぶ横方向にスライドする型が必要です。
樹脂箱の生産量が少なければ、後加工(あとかこう)にて、ドリル加工で切削します。しかし、いずれもコストの高い加工手段です。
あっ、知っています! 何度かねじを締めたり、緩めたりすると、すぐに『ねじバカ』になって、ねじが空回りしてしまう、あれ、でしょう。
ああ。ねじの取り付け、取り外しは、経験上は3回だ。これは学問じゃねぇ、実務経験だ。ところで、オメェ、VTRテープはどうした?
……!(絶句! たっ、確か第6回で! まだ、覚えていたのか!?)
どうしたと聞いているんだ。オレサマが江戸っ子だって知っているんだろなぁ? 風呂はカラスの行水よりはえーんだ(早いんだ)。意味分かるか? 気が短けぇってことよ。
えっ(絶句)! あれは、確か……。VTRテープは購入しましたが、……分解レポートは書いていません。
もう、いい。オメェ確か、歌舞伎が好きだっていっていたよなぁ。確か、歌舞伎役者のようになりてぇといっていたよなぁ。だったら、歌舞伎役者なってもらおうじゃねぇかい。あん?
ちょっと……、怖い甚さんです。
それでは、「板金部品と樹脂部品の融合」による設計サバイバル術を観察してみましょう。
図3は、またまた登場。あの有名なS社製テレビゲーム機 PS2の外装ケースです。ケースの外側からL型板金を2本のねじで締結するのですが、樹脂製ケースの厚みを増して、ねじ穴部を設けたくはありません。
このようなとき、「ナットプレート(板金)」の小道具を使います。さらに、ナットプレートのケースへの固定は、「スナップフィット」の小道具を使用します。
設計センスに優れたテレビゲーム機の部品に、「あっぱれ!」です。
甚さん、もう許してくださいよぉ!
いんやぁ、今回は許せねぇ。次回はテストすっから、70点以上取ったら許してやらぁ。
了解しました。最後の事例も優れものと聞きました。楽しみです。早く教えてください。
よし、分かった。シっかしよぉ、オメェ、本当にチャージする気があるのかぁ? エリカちゃんとは、ますます差が開くような気がすんけどよぉ。
それでは、第3の事例に入りましょう。
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