さらに今年Arbortextは、これまでの1方向へのダイナミック・パブリッシングを進化させ、双方向のやりとりを可能にしたという。
「これまでのArbortextのダイナミック・パブリッシングは、事前に指示されている構成情報を基に1方向だけに生成される情報でした。しかし今年からArbortextでは、あらためて双方向、つまりインタラクティブでの情報提供を可能にしています。あらかじめ提供しやすい形で情報を準備しておくことで、ユーザーが求めている情報をその場でチョイスしていただく仕組みです」。
本田氏は、Arbortextの新機能であるインタラクティブな情報提供の一例として、iPad上に展開しているメンテナンスマニュアルを見せてくれた。
「このデモンストレーションは、ある重機メーカーのメンテナンスマニュアルをイメージしています。ユーザーがログインすると、そのユーザーがメンテナンスする可能性のある機械の一覧が表示され、ユーザーの要求に応じてメンテナンスに必要な情報をインタラクティブに提供します。WiFi環境などの整備や、iPadに代表される携帯デバイスの普及によって、これからは大量の紙のメンテナンスマニュアルなどを持ち歩かなくても、メンテナンスに必要なすべての情報にアクセスできる時代になっています。この効率的な情報アクセスの仕組みを、PTCでは提供できるのです。もちろん、実際に現場で利用するためには、ハードウェアの強度や、ユーザーの間違いを抑制する仕組みを考慮する必要はあると思いますが(笑)」。
2011年にも、ここのメンテナンス担当者が自らの端末から情報を更新することが可能な双方向での情報更新の機能が盛り込まれることも発表されているとおりだ。
「情報への双方向的なアクセスという以外にも、アプリカビリティ(適応性)の側面から、Arbortextではユーザー志向でのパブリッシュの仕組みを実現しています。例えば航空機メーカーから飛行機を購入したA社とB社では、同じ飛行機を購入した場合であっても、メンテナンスポリシーが異なります。このため、航空機メーカーは各社のポリシーに合わせてメンテナンスマニュアルのコンテンツを組み替えて提供します。そして、次に同航空機から新しいドキュメントが提供された際には、自動的に各社のポリシーに合わせてドキュメントを組み替えるのです。つまり、ユーザーが製品をどのように使っているかという情報を踏まえ、ユーザーが求める形で的確に情報を提供するのです。この仕組みをPTCではPDSの一翼を担う重要な仕組みとしてとらえ、新たに『SIS(Service Information Solution)』というソリューションとして提供しています」。
「Arbortextの優位性は、実績が証明しています。航空宇宙業界の技術パブリケーションにおける標準仕様S1000Dに対応しているため、航空宇宙業界の技術パブリケーションの8割は、Arbortextを採用しています。ほかにも製薬、自動車、重機、エレクトロニクスなどさまざまな分野で実績を残しています」。
S1000D対応の担当でもある本田氏は、2008年にハンガリーで開催されたユーザーカンファレンスにおいて、日本からの参加者に向けたラップアップミーティングも提供している。
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