ここまでで、エンタメロボット社という架空の企業が医療用ロボット市場に新規参入するという例で特許分析レポート例を見てきました。1日目の特許検索から始まって、2日目の特許分析・パテントマップ、そして今日の特許分析事例まで企業の知財戦略立案のうえで基礎となる情報分析スキルを学んできました。
特許検索スキル・分析スキルは一朝一夕で身に付くものではありません。日々の業務に組み込んでいただき、習熟していくことが必要です。皆さんも今回のセミナー受講を機に、ぜひとも自社の知財戦略立案へ向けて頑張ってください。
前回紹介した無料ツールの中にも掲載しましたが、WIPO(世界知的所有権機構)が公表しているデータベースPATENTSCOPEを利用すると、簡単な特許分析レポートを作成することができます。
本セミナーの最後に参考として知財調査ツールである「PATENTSCOPE」の利用方法を紹介したいと思います。
図Bの⇒で示したボタンを押すと、新たにウィンドウがポップアップして以下の図Cのようなパテントマップが出てきます。
件数推移からは検索した技術分野への注目度合いを把握することができますし、出願人国籍別分布マップからはどの国が強いのか、出願人ランキングマップからはどの企業が強いのか知ることができます。
医療用ロボットの検索例でいえば、2000年代に入ってから医療用ロボットの特許出願が増加しており、特にアメリカがこの技術分野では強いこと、そしてIntuitive Surgicalという米国企業が15件というまとまった特許出願を行っていることが分かります。
WO特許のみという制限は付きますが、予備分析としては必要最低限の分析結果を得ることができます。
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6回にわたって「自社事業を強化する! 知財マネジメントの基礎知識」の連載をご購読いただきありがとうございました。
知財マネジメントは知的財産部門だけのタスクではなく、経営者から技術者・研究者まで会社一丸となって取り組むものです。本連載を通じてご購読いただいた皆さんに「よし、うちの会社でも全社を挙げて、知的財産をうまく活用して事業を強化・活性化しよう!」と感じていただけたのであれば幸いです。(連載完)
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