それでは、早速特許分析レポート例について見ていきましょう。表紙のスライドは省略しています。
図1では医療用ロボット関連特許の件数推移と出願人数(=参入企業数)推移を示しています。このスライドから医療用ロボット関連特許は2000年以降、件数・出願人数(=参入企業数)とも横ばいであることが分かります。つまり医療用ロボット市場はそれほど新規参入が増加しているわけではなく、ある程度プレーヤーが限られているのではないかと予想されます。
次にどのような企業が医療用ロボット関連特許を出願・保有しているのか把握するために、シェアマップを次のスライドに示しました。オリンパス・日立製作所・東芝の3社が上位を占めています。特に登録特許ベースで見ると3社のシェアは35%に達することから、この3社が医療用ロボット市場に参入した場合の主な競合他社になると予想できます。
図3に示すようにオリンパス・日立製作所・東芝の主要3社以外では、テルモやアメリカのインテュイティブ・サージカルのように近年になって積極的に特許出願を行っている企業もあります。特にテルモは2006年以降まとまった件数を集中して出願しているので、医療用ロボットへ本格的に参入したと考えてよいでしょう。
本文の図3ではテルモが2006年以降、まとまった件数を出願していました。なぜテルモが急に「医療用ロボット」関連特許を出願し始めたのでしょうか? 各社のIR資料を見ると、このような特許出願状況の背景が浮かび上がってくる場合があります。Webサイト検索で「テルモ ロボット」と検索すると
がヒットします。
この資料の中でSTEP UP 2007の3項目の1つとして「新しい治療システムの開発(新商品)」が挙げられています(9ページ)。さらに具体的な開発テーマとして「手術用ロボット」が挙げられています(11ページ)。これでテルモが特許出願を急激に増加した背景に、この新中期計画に基づいたものであることが分かります。
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