2010年6月23〜25日の3日間、東京ビッグサイトで「第21回 設計・製造ソリューション展」が開催される。開催に先立ち、展示会を主催するリード エグジビジョン ジャパン 事務局長 島田周平氏に展示の見どころと商談成功の秘けつを聞いた。
「展示会主催者として、景気の回復を実感している」
取材冒頭から熱のこもった声で今回の展示会の手応えを語ってくれたのは、第21回 設計・製造ソリューション展(以下、DMS展)の主催者であるリード エグジビジョン ジャパン 事務局長 島田 周平氏だ。
@IT MONOistの読者ならご存じの通り、昨年は不況の影響が大きく、出展者も来場者も緊急の緊縮予算のあおりを受けたところが多い。今年で21回を迎えるDMS展は、DMS展史上最多であった2008年度と同程度の出展者数となる1700社程度がブースを設ける予定だという。
ようやくさまざまな統計指標でも景気の上昇傾向が裏付けられつつある今年は、昨年度ペンディングされていたさまざまな事案に具体的に着手し始める動きが見えてきているそうだ。
「来場者さま側ももちろんですが、出展者側もこうした市場の動向を読み、各社“気合を入れた”ブース内容を練っています。例年以上に見どころの多い展示会となるでしょう」(島田氏)
今年から新たに設けられたゾーンがある。「知的財産・技術戦略支援ゾーン」と「[工場・事業所向け]省エネ・CO2削減ゾーン」だ。
「われわれにとっても新しい取り組みとなりますが、日本の製造業のいまのニーズを考えると非常に有効な展示になると確信しています」(島田氏)
知的財産権の保護・活用については、製造業のビジネスが国際的な競争の中に置かれていることもあり、日本政府も強く支援している。勢いのあるアジア各国との競争場面でも知的財産権の保護、活用の問題は重要とされている。
「せっかく自社の独自技術として長期間開発してきた製品が、いざ世界中の市場に出そうとしたときに知的財産権を侵害していた、などという事案が意外と多いそうです。しかるべきタイミングで専門家の支援を仰がなくては、市場競争のステージに立つことすらできないリスクがあるのです。こうした問題を解決するための出会いの場としてこのコーナーを企画しました」(島田氏)
この「知的財産・技術戦略支援ゾーン」では、昨年までは見られなかった国際特許事務所など、企業の知財戦略の経験豊かな企業が出展している。
もう1つの注目ゾーンである「[工場・事業所向け]省エネ・CO2削減ゾーン」については、昨年度の来場者からのフィードバックを基に企画したものだという。
「さまざまなルールが新設されたいま、事業主は厳しく環境配慮に取り組む必要があります。しかし、実際に自身の事業の中でどのように取り組むべきかは、比較的多くの来場者の方が悩まれているようです。このようにコーナーを設けることで、課題解決の助けになるのではないかと考えています」(島田氏)
実際には、複合的な製品の中で環境問題に対応しているものもあるため、ゾーン以外のブースでもさまざまなソリューションに触れることができるが、あらためて「[工場・事業所向け]省エネ・CO2削減ゾーン」として区分けすることでより明確に来場者の方々のニーズにこたえていくことが今回のゾーン企画の狙いの1つでもあるそうだ。環境対策で課題を持つ読者は、このゾーンを中心にブースを一巡されることをお勧めしたい。
なお、上記の新設ゾーン以外にも、展示会場内には製品カテゴリーごとに9つの特設ゾーン(CAD&PLM/PDMゾーン、CAMゾーン、CAEゾーン、図面管理・文書管理ゾーン、ラピッドプロトタイピング・3Dプリンタゾーン、3次元測定ゾーン、SCM・ERP・生産管理システムゾーン、技術伝承・技術者教育ゾーン、設計・製造アウトソーシングゾーン)が設置されている。
毎回、人気を集める専門セミナーの基調講演は今年も興味深い。
6月23日10時30分からは日産自動車 企画・先行技術開発本部 テクノロジーマーケティング室 室長 鈴木 伸典氏が「電気自動車がひらく明日のモビリティ社会」と題して、同社の電気自動車「リーフ」を中心とした電気自動車社会像を紹介する予定だ。
翌24日10時30分からはキヤノン 執行役員 情報通信システム本部 本部長 荒木 誠氏が「キヤノンのIT戦略〜一気通貫のものづくりを目指して〜」と題した講演を行う。キヤノンでは開発〜生産〜販売までをITシステムで統合する大規模なプロジェクトを推進している。講演ではこれまでの取り組みの内容と今後同社が取り組む課題がどのようなものかを紹介する。
なお、23日の鈴木氏の講演は受講無料であるため、申し込みは早期に締め切られる予定。受講希望の方は早めに申し込みを済ませておくことをお勧めする。
このほかにも日立製作所におけるラピッドプロトタイピングの活用事例や、トヨタ自動車におけるCAE普及活動、グローバル化を推進するダイキン工業の人材育成事例、大手企業の先進的な取り組みを紹介する講演が多数予定されているので、ぜひともチェックしていただきたい。
併設展では、今年から新たに「医療機器 開発・製造技術EXPO」が開催される。医療システムの高度化、医工連携の重要性は数年来、国の重点課題となっている。また、高精度の計測や、センサ技術、精密加工技術によって、医療は大きく変わりつつある。製造業各社にとっても医療向けのモノづくりはもう1つの活路となりうる分野だ。
「DMS展来場者の皆さんにとってもビジネスチャンスとなりうる展示内容になると考えています。ぜひとも併せて来場いただきたいと考えています」(島田氏)
最後に島田氏から@IT MONOist読者に向けてDMS展の有効活用の秘けつを伝授いただいたので、ここで紹介しておこう。
「来場者の皆さんはぜひこの機会を確実に“モノ”にするために、事前のリサーチを綿密に行っていただきたいと思います。実際の商談を現地で行うためにはリサーチとアポイントが重要です。ここは、という企業が見つかったら、ぜひ当日会場で商談ができるよう、事前アポイントをとって確実に商談ができるよう、準備しておくといいでしょう」(島田氏)
DMS展の各ブースには、セールス担当者だけでなく、製品開発担当者らも会場にいる場合もあるため、課題に対する予算やスケジュール、目的や選定基準が明確になっていれば、場合によっては会場で一気に課題解決のめどが立つこともあるという。
例年、各社のブースには商談スペースが設けられており、担当者とひざを突き合わせてじっくりと課題の対策を練ることができる。ぜひ会場には準備万端の状態で挑むことをお勧めしたい。
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